2010年06月23日

25日からG8/G20サミット

【6月22日 オンタリオ州ハンツビル=山田太雲(オックスファム・ジャパン)】昨晩、今回のサミット開催地、トロントに到着しました。シカゴ経由だったのですが、米国とカナダでは入国審査のフレンドリーさが全く違うことに驚きました。また、スーツケースがシカゴからトロントに届いておらず、急きょホテル近くのコンビニで下着や靴下をはめになりました。今日中にホテルに届くといいのですが…。

サミットの本番は25日からですが、すでに世界中からNGOなどの市民社会組織や活動家らが集まり、数日前からピープルズ・サミットを開催し、世界の諸問題について様々な議論をしています。

私は今日、オックスファムも参加する世界最大規模の反貧困市民社会ネットワークであるGCAP(Global Call to Action against Poverty)の活動2つに参加しました。一つは、GCAPのカナダ国内ネットワークであるMake Poverty History Canada(MPH)による、昼食イベント「At the Table」。参加者は用意されたサンドウィッチなどを手にとっていくつかのテーブルに分かれて座り、今回のサミットでG8やG20が何について議論をし、どのような政策をとるべきかについて、話し合いました。

テーブルごとに、「女性の権利を重視するサミットを」「公正な気候変動対策に合意してほしい」など意見が出されましたが、私の座ったテーブルでは「大国の富裕層の利益だけではなく、すべての国のすべての人々の基本的権利の保障を目的にすべきだ」という意見で合意しました。過去数年のG8では、アフリカなどの貧困国が直面する問題について議論し、G8がその解決にどう貢献するかを議論してきましたが、議論だけで行動が伴っていないことが批判されてきました。しかし先進国を震源とした金融危機以降、G8の影響力自体が低下し、代わりに新興国を含むG20が世界経済運営の中心的な役割を担おうとしています。しかし、G20はこれまでのところ、危機に対して自分たちの利益や損失ばかり議論しており、危機によって深刻な被害を受けた貧困国の問題は後景に退こうとしています。そのため、G20が世界に対して責任ある集まりとなるためには、アフリカを含む最貧国をメンバーに迎え入れ、開発問題を中心課題に据える必要があります。

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午後は、GCAPのアジア地域の戦略会議に出席してきました。特に、11月にソウルで開かれる次回のG20サミットに向けて、国境を越えたアドボカシーやキャンペーンをどう連携させていくのか、共通の政策要求をいかに各国で展開していくのか、そして初めてサミットを開催する韓国のGCAPを、いかに皆で支えるのかについて話し合いました。

明日と明後日は、GCAPよりもさらに広範な市民社会の関係者による、同様の戦略会議に出席する予定です。ここには、環境問題や、金融のグローバル化の問題などに取り組む団体やネットワークも集まり、やはりソウル・サミットに向けた取り組みについて話し合うことになっています。

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そうこうしているうちに、今日、過去のG8の約束の履行状況を検証する「アカウンタビリティ報告書」が、G8によって発表されました(http://g8.gc.ca/g8-summit/accountability/)。年間の世界のODA総額を500億ドル増やすとした約束は今年期限を迎えますが、約束額を大きく下回ることを、G8自身も認める内容になっていますが、一方、現在調整が進められている首脳宣言文では、この不足額を一刻も早く埋めるための方策について話し合うどころか、目標の存在自体に触れない形になっています。説明責任を果たすことは結構ですが、それが行動の改善に結びつかないのでは意味がありません。

この件について、オックスファムは見解を発表しましたので、ぜひご覧ください(http://oxfam.jp/2010/06/g8_17.html)。


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2009年07月13日

「持てる者」の誇りや責任感、指導力を見せることできず

G8サミットが閉幕しました。さきほど、最後のプレスリリースを報道関係者に送り、ベルルスコーニ伊首相の記者会見を見てきたところです。

初日の前日を含めて、4日連続で片道2時間のプレスセンターに通い詰めましたが、やっと解放されます。(写真:オックスファムの同僚と語る)

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Photo by Oxfam Japan

サミットは初日だけG8の枠組みで議論し、2日目以降は拡大会合でした。詳しいことはプレスリリースに書きましたが、G8は今回、「持てる者」としての誇りや責任感、指導力をほとんど見せることができず、お互いや途上国に対する責任のなすりつけ合いに終始しました。

おそらくG8という枠組みは遅かれ早かれ解消され、G20もしくはG13/14などに引き継がれることになるのでしょう。しかし、古い体制が崩れ、新しい体制の試行錯誤が続く間に、社会的立場の弱い人々がそのしわ寄せや受けたり代償を支払わされたりすることがあってはなりません。

人々に尊厳ある暮らしを保障し、政治、経済を安定化できる体制こそが、新しい時代に受け入れられる体制だと思います。
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2009年07月09日

イタリアを責めれば、それで済むのか

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国際メディアセンターの様子(photo by Oxfam Japan)

【7月8日 ラクイア=山田太雲(オックスファム・ジャパン)】
前代未聞の、直前になっての開催地変更、ベルルスコーニ氏自身による、アフリカへの「謝罪」(*参照)、イタリア排除論の台頭 … ラクイラ・サミットは開催前から議長国イタリアの準備不足や想定買いの動きなどが話題になっています。最近は日本政府も含め、他国の政府関係者も各種の報道に対して匿名で、イタリアの議長能力不足を批判して、サミットの結果は芳しくないものになることを予測するようなコメントを発しています。

たしかに、議長国がどのような議題を設定し、どのようなビジョンを持ってメンバーを先導・調整・説得していくのかは、最終合意内容に大きな影響を及ぼします。その点で、イタリア政府、とりわけベルルスコーニ氏が重い責任を負うことは論を待ちません。

しかし、来年を期限とするグレンイーグルズ公約を始め、気候変動、経済危機対策、食料危機対策などで、国際社会の期待や要求に応えられていないのは、何もイタリアだけではありません。我が国日本も、ODA予算を削減し続けており、貧困国の求めに対して、これまでの方針を大幅に見直し、誠実な対応をできていない点では、決して他人事ではありません。

最終的には、7月10日の段階で世界が、7月7日よりも希望を見出すことができそうなのかどうかが重要であり、議長国が困難を抱えているのであれば、他国が積極的な提言を行うなどの努力をすべきです。

今回のサミットが世界人口の大多数の人々にとって、何らの解決策も提示できなかったとしたら、その責任はあくまでもG8全体に問われることであることを、私たちは忘れるべきではありません。


(*)最近行われた、イタリアのラ・スタンパ紙上でのボブ・ゲルドフ氏との会見で、ベルルスコーニ首相は、「アフリカよ、許してくれ。私たちは過ちを犯した。もっと努力すべきだった。確かに、私たちは約束を守らなかった」と語りました。
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G8にはもう失敗する余裕はない

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山田 太雲(オックスファム・ジャパン)

【7月8日 ラクイア=山田太雲(オックスファム・ジャパン)】
みなさま、こんにちは。オックスファム・ジャパンの山田です。一昨年にドイツで開かれたハイリゲンダム・サミットでお世話になって以来、FM わぃわぃにブログ報告させていただくのは、今回で2度目となります。できるだけ臨場感のある情報をお伝えしたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。また、世界中から集結しているオックスファムの仲間たちが、毎日ブログにメッセージを書き込んでいますので、少しでも英語が分かる方は、ぜひこちらもご覧ください。(http://blogs.oxfam.org

5日夜にローマ入りし、今日、車で3時間の移動を経て、サミット開催地ラクイラという街にあるG8国際メディアセンターに到着しました。考えてみれば、北海道洞爺湖サミットまでのジェットコースターのような日々が終わった日から、今日でもう364日経っているんですね。ちょっと信じられない感じです。

洞爺湖サミットは、気候変動や、食料価格の高騰など、途上国に住む貧しい人々にとって次々と危機が起こる中、G8は自らの役割を果たすことができませんでした。唯一プラスの成果があったのは、保健医療の問題について、G8がこれまでに交わした約束をしっかり果たしているかどうかを、毎年のサミットで検証することに合意したことでした。こんな約束をしなければいけないこと自体、考えてみれば哀しいことですし、G8の信頼性が当時も揺らいでいたことの証左でしょう。

今年はしかし、この主要国首脳会議(G8)と呼ばれる枠組み自体の存亡がかかっています。これまでG8が世界に推し進めてきた経済モデルのおかげで今の経済危機を迎えたこと、そして危機が起こってからのこの1年弱の間に、G8が問題の元凶となった金融機関の救済に投じた金額は、これまでの49年間に先進国が途上国に届けた開発援助の総額の約10倍にもなる(http://www.endpoverty2015.org/english/news/financial-industry-receives-10-times-more-money-1-year-poor-countries-receive-49-years/23/jun/09)という事実に、世界中の人々が、そしてG8以外の国の政府が、怒っています。

G8はこれまで、自分たちは経済大国であり、その分の責任を果たす国の集まりであると言ってきましたが、このサミットでまさに責任を果たせなければ ―― つまり、どうやって来年までに援助を500億ドル増額するという約束を守るのか具体的に示し(信頼性の危機)、自分たちの温室効果ガス排出量を最低40%削減することで、国連気候変動交渉に弾みをつけ、貧しい国々の農民に対する支援を行うことで、彼らが食料援助に頼らなくても済むようにすることができなければ、最終日にこのサミットを「やっぱりG8の首脳が会うことは大切だ」と総括することは到底できないのではないかと思います。

残念ながら、各国政府から聞こえてくる情報は芳しくありません。私はこれまで、いくつかのG8サミットに関わってきましたが、首脳たちが到着する前から議長国の首脳が、「あまり結果には期待できない」などと発言するサミットは初めてです。しかし、このブログを読んでくださっている世界中の皆さんと同じように、ローマとラクイラに分かれて活動しているオックスファムの派遣チームも、責任逃れは許されない、ということをしっかりと各国首脳たちに伝えるつもりです。

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オックスファムが6日にローマで行ったパフォーマンスを1面に載せるイタリアのフリーペーパー(photo by Oxfam Japan)
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2007年06月11日

施しではなく正義をーG8閉幕にあたりー by 山田太雲(オックスファム)

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Photo by Craig Owen/Oxfam International

サミットが終わりました。
以下、項目ごとに振り返りたいと思います。長くなりますが、ご辛抱ください。

1. 気候変動
世界で最も豊かな8つの国々は、温暖化ガスを2050年までに大幅に削減することに合意しました。このことは、数週間前までブッシュ米大統領が温暖化の問題の存在すら認めようとしなかった事実を考えれば、大きな前進といえるのかもしれません。また、気候変動の影響を最も大きく受ける貧しい国々も参加できる形で解決策を議論するための最善の形である、国連での議論を続けることに、それまで難色を示していたアメリカも合意しました。これらの成果は、議長であったドイツのメルケル首相のリーダーシップによるものだと思います。

しかし、温暖化ガス削減といっても、最大の汚染国である米国やロシアが削減目標を設定せずに済んでいたり、日本、EU、カナダは50%削減としていますが、いつのレベルからの50%なのかについては明記していないため、最終的に温暖化を、壊滅的な影響をもたらす2℃未満に抑えることができるのかどうかはまったく不明です。

また、すでに待機中に出てしまっている温暖化ガスの影響で、今後しばらくは温暖化が悪化することは確実で、その影響によってすでに被害を受けている人々、また今後悪化する被害を抑えるために貧しい国々を支援する必要がありますが、このことについては期限や金額についてまったく合意されておらず、G8は、汚染国としても、富裕国としても責任を果たしていないことになります。


2. アフリカ
G8は今回、「HIV/AIDSその他の感染症対策用に600億ドル拠出する」ことを、最大限に自画自賛しています。たしかに感染症の問題は深刻であり、たくさんの人々が命を落としているため、どのような支援の増額も歓迎されるべきことではあります。しかし、この600億ドルにはすでに約束されていたお金が多分に含まれているほか、何年間にわたっての合計600億ドルなのかもわからないため、HIV/AIDSなどの感染症対策に必要とされている金額をどれだけ満たせるのか、見えづらいのです。3年間という国もあれば10年間という国もあり、結局そのうちの大部分を出すことになっている米国に合わせて平均5年とすると、実は今回の「600億ドル」のうち新規資金は、大きく見積もっても年間30億ドルほどにすぎないことが、オックスファムの試算でわかっています。

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Photo by Craig Owen/Oxfam International

しかも今回のサミットで表明された具体的な資金はほぼこれだけであり、2年前にG8自身が約束した、2010年までの援助500億ドル増額、そのうち250億ドルをアフリカへ、という公約達成の道筋がまったく見えていないことには変わりません。サミット前の時点での各国の援助動向からは、2010年時点でG8は約束額を300億ドル下回るという予測が出ていましたが、今回発表された「600億ドル」により、その不足額は270億ドルになったにすぎません。

約束を破っている時点で、そのお金を何よりも必要としている世界の貧困層への背任行為でですが、「600億ドル」という大きく誇張された数字を持ち出すことで、まるで約束を果たしつつあるかのように見せかけるのは、犯罪的とも言えるでしょう。


3. NGO活動の成果
このように結果は、とても問題解決にG8が自らの責任を自覚し、それを果たしたとは言い難いものでした。しかし、それでもオックスファムを始め多くのNGOやそれを支える市民一人一人によるキャンペーン活動は、大きな成果を挙げたといえます。今回のサミットに向けてメルケル首相は当初、議題を先進国間の経済政策の調整というサミットの「原点」に戻そうとしていました。彼女がその態度を変え、地球規模課題(グローバル・イシュー)を議論することにしたのは、市民社会のキャンペーンがあったからこそでした。ドイツではコンサートや署名、新聞広告など様々な活動が展開され、メディアも気候とアフリカの問題を事前から大きく報じ、G8がまともな結論を出すのかどうかに大きく注目しましたし、政府柄の評価と同時にNGO側の評価を、テレビも新聞もとても大きく報じていました(ドイツのメディアの様子がわかるコピーなどを入手次第、アップしたいと思います)。

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Photo by Craig Owen/Oxfam International

また、「600億ドル」についても、発表から間もなくオックスファムなどが真実を暴いたために、それが偽りの数字であることがヨーロッパや途上国のメディアでは大きく報じられています。これも、NGOによるアドボカシー活動がなければ、「600億ドル」のまま報じられ、先進国の市民は「わたしたちはアフリカのためにかなり大きな犠牲を払っている」と思い込まされていたことでしょう。そういう意味で、来年の洞爺湖サミットに向けて私たちが負っている責任は非常に重いものがると思いました。

また、ホワイトバンドをシンボルにした世界中のNGOの共同キャンペーン、Global Call to Action against Poverty (GCAP: 日本では「ほっとけない世界のまずしさ」として知られる)が行った記者会見では、アフリカの活動家(HIV陽性の女性も含む)が各国から集まった100人以上の記者を前に、「アフリカは豊かな地下資源を今も外国と、それと結託するエリートに奪われているために、地上の人間が貧しさに追い込まれている。これを解決するためには途上国政府を実質的に民主化すると同時に、貿易のルールを変えるなど、多くの変更をしなければいけないが、その中で『援助』というのは、先進国が行うべき最低限の償いである。我々は施しを求めているのではなく、正義を求めているのだ」と力強い訴えをしていました。これも動画に収めてあるので早いうちにアップしたいと思いますが、彼ら自身の話を聞けば、「援助」という言葉にまとわりつく南北間の上下関係や慈善的な意味合いが吹っ飛び、社会的公正を保障する公共予算であり、富の最還元の問題なんだということがストンと落ちます。私たちもその気持ちで普段から訴えているものの、途上国の人自身の言葉には、比較にならない説得力があります。

オックスファムも、政府筋から情報を集めたり、それを詳しくメディアに知らせたりした他、このGCAPの記者会見の黒子をすると共に、期間中様々なパフォーマンスなどで世界のメディアの関心を引くための活動を会場の外で行いました。「G8はアフリカへの約束を忘れて海辺リゾートで遊んでいる」ということを皮肉るパフォーマンスをしましたが(写真参照)、このときの安倍首相はなんと私でした。バルト海の水は、さすがに冷たく、パンツが濡れた時は悲鳴を上げましたが、これも非常に多くのメディアが撮影に来ており、各国の新聞の一面を飾ったりしています。


4. 「日本」という特殊な国
残念ながら、上記のような盛り上がりは日本の主要なメディアではほとんど報じられていません。気候についても、アフリカについても、ほぼ政府筋の情報をそのまま、検証することもなく報じるのみ(というは、アフリカについては報じもしないことが多いですね)。他の国のメディアが大きく注目している情報やイベントについて、取材にも来ないですし。

聞くところによると、日本のマスコミのG8取材体制は、年々小さくなり、また北朝鮮問題の担当者を送る程度になってきているとのことです。これは、戦後の日本がまた西洋の金持ち国の仲間入りをして、これらの国に認められるかどうかに関心があったことからの延長で考えると、中国の台頭や、日本に影響を与える問題の複雑化を考えると理解できますが、一方でG8が、グローバル化による様々な責任を問われ、それに対応するかどうかが途上国の住民や政府からも厳しく問われ、それがG8諸国の国際的評価などにも直結するようになってきていて、国際政治の大きな熱源になっているというもう1つの変化について、日本のメディアがあまりにも鈍感であることの証でもあります。この鈍感さのまま日本の外交が議論され決定されていくのですから、世界から評価されるべくもありません。「主張する外交」「援助の国益追求・戦略化」を言うのであれば、まずはこういった大きな流れを掴んで、国際益に自らの利益を絡ませるような戦略を練らなければ、結局独り善がりの、「僕はこんなこともできるんだよ、ほら見て」外交に終わってしまいますし、世界のATMとしては頼られても、次の世界をどう作っていくのかというビジョンを求められる時に、話は聞いてもらえないでしょう。

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Photo by Craig Owen/Oxfam International

サミット終了後の安倍首相の記者会見を見ましたが、首相からの報告には、2大主要議題の一つであった「アフリカ」については一言も触れられませんでした。また、記者からの質問も北朝鮮と中国に関するものばかりで、来年日本が主催するサミットの議題が何になるのかといった質問すらも出ませんでした。他の首脳の記者会見には、比べ物にならない人数の記者が集まり、今回の合意の内容を厳しく突っ込む質問が出されていました。日本と他国とのこの違いは、サミットに限らず、ありとあらゆる国際会議の現場で見られます。つまり、政府もマスコミも、わざわざ地球の裏側まで飛びながら、国内政治というサナギの中でいつもと同じ議論をして良しとしているのです。そんなところしか見ないから、G8の場であることの意味を見出せず、取材体制を縮小したりするのでしょう。状況認識から対応策まで、すべてが間違えていると思えてなりません。このような現実を見ると(この仕事をしていると、年に1度は同じ現実を見せ付けられるのですが)、NGOの職員という立場を超えて、一日本国民として、また国際舞台で少しは自国を誇りに思いたい世代の1人として、非常に失望をさせられます。

私はオックスファムとしてのメディア活動が、世界的には大成功でも、太平洋と日本海の波の音にかき消されてしまっていることもわかりましたので(それでもいくつかの記事には載りましたが)、アフリカ支援を各国首脳や企業家に呼びかける活動で有名な、ロックバンドU2のボノ氏の取材を、彼が立ち上げたNGO、「DATA」と共催で日本の新聞記者に持ちかけました。さすがに関心度は高く、また、ボノ氏も私からのブリーフィングを受けていたので的確なメッセージを発信してくれたため、非常によい取材となりました。9日の時点で読売新聞に掲載されていることは確認しました。

なんとかリベンジという感じですが、西洋のロックスターの言葉でないと届かない、というのも何とも情けない限りです(芸能人だからというわけではなく、環境の問題にしても、貧困の問題にしても、それを政治の問題として訴える著名人は日本では非常に少ないですし、人気のピークにある芸能人ではほとんどいませんよね)。

さて、来年は北海道は洞爺湖でのサミットです。オックスファムを始め、日本のNGOがしっかりし、マスコミがしっかりし、政府に国際的な問題への取り組みや、交わした約束についての説明責任を問い、日本政府も自国のイニシアティブを発表して満足するのではなく、国際目標実現から逆算した課題を他国に突きつけ、解決に向けた実質的な貢献を促すことで、主導権を発揮する…。そうなれば理想ですが、難しそうであるということも確かです。

しかし、1度のサミットが戦いのすべてではありません。このサミットをきっかけに、国際課題へのドイツ政府の責任を問う世論は、ドイツで確実に大きくなりました。英国ではずっと前からその議論がされてきており、また2005年のサミットでは「アフリカ」についての議論が盛んに行われたために、世論調査によると、英国民が選挙の際に最も重要視する課題ランキングで、「世界の貧困問題への取り組み」が4〜5位になるという事態が起きています。日本人も同じ人間。ちゃんとした情報が行き渡り、「自分」と「相手」との心の中の国境さえ取り払われれば、かならず世論は起こるだろうし、それが来年のサミットで日本政府を突き動かすに至らなくとも、長期的にはそのような世論を大きくしていくことが必ず変化につながることは間違いありません。

私も今後1年の間に、できるだけ皆様の前に登場できるようにがんばりますので、よろしくお願いします。



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2007年06月10日

オルタナティブG8サミットの経験は来年に生きるか by 松浦哲郎(AMARC)

G8サミットが8日に閉幕したのにあわせて、ドイツ北東部に位置する港町ロストックを中心に開催されていた「オルタナティブG8サミット」も、その幕を閉じました。並行して行われていた「ラジオ・フォーラム」も、その活動を無事終了しました。それまで別々に放送をしていたドイツ語チームと多言語チームはこの日、同一のスタジオに入って、一つの番組を放送しました。様々なメンバーが入れ替わり立ち代りマイクの前に立ち、様々な言語で会話を続けました。リスナーの皆さんには聞きづらい放送だったかもしれませんが、参加したメンバーにとってはとてもよい思い出となりました。放送後ははじめて皆でビールを飲みながら、今回の活動について、そして今後について夜遅くまで語り合いました。

私がドイツに来る前にフォーラムの主催者から受け取った手紙には、今回のフォーラムはかつてない「実験(Experiment)」の場になるでしょう、と書かれていました。私はもしかするとこれは、「経験(Experience)」の間違いではないのか・・・と思いながらロストックに入りました。およそ20カ国から参加したメンバーとの1週間の共同作業を終えたいま、それが間違いではなかった、まさにここは「実験」の場だったのだ、と実感しています。もちろんそれがすばらしい「経験」でもあったことは、言うまでもありません。

ベルリンから列車に揺られること3時間、6月1日の真夜中に私はロストック駅に着きました。駅には多数の警察官、警察犬が配置され、非常に物々しい雰囲気でした。翌日の2日からは本格的なデモンストレーション等が行われ、その中で「ブロック・ブラック」と呼ばれる無政府主義を叫ぶ若者集団を中心に、投石などが行われ、多数の負傷者、逮捕者を出しました。ドイツ国内のマス・メディアではこのことがセンセーショナルに報じられ、今回のG8反対行動を自らの宣伝の場、勢力拡大の場と位置付けて力を注いできたレフト・ウィングの政党、政治集団を落胆させました。しかしこの「暴動」が、警察によって多分に意図され、その威嚇や誘導によって引き起こされた可能性が高いということは、以前のレポートでも紹介させていただきました。

「オルタナティブG8サミット」主催者のプレス会議では、ブラック・ブロックのメンバーを装ってマスクをした私服警官が、若者たちに「石を投げよう」と誘いをかけていた、という事例が報告されました。その場にいた15人ほどの若者が、マスクをはずすように迫ったにも関わらず、それをかたくなに拒否。IDの提示も拒否をした、とのことです。もし本当にブラック・ブロックのメンバーなら、どうして仲間の前で、マスクをはずせなかったのでしょうか。もちろん警察はこの事実を否定しています。

また、ベルリンから派遣された警察官たちは、日頃このようなデモンストレーションに慣れているので、かなり冷静に対応したが、地元の警察官は不慣れで、若者と対峙した際に、感情的になり(恐怖や戸惑いもあったでしょう)、手を出してしまったのでは、という見方もありました。いずれにしても、銃や防弾チョッキ、ヘルメットなどで完全武装した警察官が、Tシャツ姿の若者を殴る、蹴る、しているのを見るのは、非常に胸の痛む経験でした。

「ずっとロストックに住んでいるけど、こんなことは初めてだよ。いくらなんでも警察はやりすぎじゃないのかね。昨日は交通が遮断されたために、ずっと家に帰れなかったんだよ」と、5日のデモンストレーションの途中で出会った初老の男性は語っていました。同じデモンストレーションを見学していた2人の若者は「警察は自分たちの力を見せたいだけだ。こんなお金の無駄づかいはやめるべきだ。」と口をそろえていました。一方で、「ナチスの集団が来るかも知れないから、警備は必要だと思う」という地元の大学生もいました。事実200人ほどのナチスの集団がロストックを目指しましたが、途中で警察によって防がれたそうです。

7日、8日は、ロストック市内での全てのデモンストレーションを禁止する決定が裁判所から出された影響もあり、人々は港湾地域に設けられたステージ前に集まり、オルタナティブG8サミット主催者やゲストのスピーチ、世界中から集まったミュージシャンたちの演奏に聞き入りました。思い思いの主張を書いたプラカードが掲げられ、色とりどりの旗がはためき、会場は穏やかな雰囲気に包まれていました。

「レフト・ウィングの政党の人たちがすごく喜んでいたよ。僕の知る限りでは、レフト・ウィングがこれだけの成功を収めたのは初めてだね」。ドイツで最も歴史ある都市トリーアの地元紙に務める新聞記者は言いました。「最初の日の彼等の落ち込みようはすごかったよ。『とんでもないことになってしまった。これでオルタナティブG8サミットも失敗だ』と。でもその後はとても平和的にデモンストレーションが進んだおかげで、マス・メディアの論調もだんだん変わってきたんだ。G8の会場になったハイリゲンダムへ続く道路を封鎖した若者に、近所の人々が食べ物を差し入れたりする光景も見たよ」。

会場で取材を行っていた、日本のあるキー・テレビ局のロンドン支局に勤める女性は言っていました。「日本ではG8自体への関心が低いから、こういうカラフルなお祭りの様子だとか、そういうのしか送れないんですよねぇ」。実際他にもいくつかの日本のテレビ局が取材に訪れていました。「ヨーロッパの状況と日本の状況はずいぶん違うんですけど、それを日本の局の人がなかなか理解してくれないんで、こちらで取材してる人間はかなりストレス溜まってるんですよねぇ」。

G8が閉幕して一夜明けた今日、ロストックの街をゆっくり歩いてみて、街行く車に日本車が極めて少ないことに改めて気がつきました。100台に数台、というところでしょうか。いろいろな国に行きましたが、ここまで日本車が少ないのは初めてです。当然といえば当然ですが・・・ここは自動車の国、そして経済大国ドイツ。しかしロストックで出会った若者は言いました。「ロストックは死んでいる。」

その昔、ハンザ同盟の主要都市として栄えたロストック。現在の人口は20万人。観光が街を支えています。風光明媚な土地ですが、街には廃墟のようになった工場跡などが点在しています。ロストックが位置する旧東ドイツ地域では、依然として旧西ドイツとの経済・社会格差が大きく、失業率も高いままで推移しています。無政府主義を掲げ、現政府を痛烈に批判する「ブラック・ブロック」が、若者の社会に対するフラストレーションの受け皿の一つとして機能しているのだ、とフォーラム開催中ホームステイをさせてくれた地元ロストック大学の学生が教えてくれました。

インディペンデント・メディア・センターの周囲を埋め尽くした警察車両も、今日はすっかりなくなりました。29歳で今回のラジオ・フォーラムのコーディネイトを買って出た、地元ラジオ局ラジオ・ロロのスタッフ、ファルクも、「また日本で会えるといいね」と言って、愛犬マーヤを連れて事務所を後にしました。今は私と、インドから参加したラムだけが残って、「来年はどうなるのかなぁ」なんて話をしながらパソコンに向かっています。今回そのユニークな抗議方法で一躍有名なった「クラウン・アーミー(ピエロの兵隊)」は再び現れるでしょうか。いろいろなことが頭の中をグルグルとまわっています。

10日にはベルリンに向かい、次の日の飛行機で帰国します。


(松浦哲郎)
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2007年06月09日

「もう一つ」のメディアの活動は続く by 松浦哲郎(AMARC)

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Photo by Tetsuo Matsuura

6月1日の真夜中に、バルト海に面した街、ロストック(人口およそ20万人。旧ハンザ同盟の主要都市の一つ。サミット会場のハイリゲンダムからは車で東へ30分。多くのデモンストレーションの拠点となっている)に入りました。

G8(主要国首脳会議)といういかにもけったいな名前の会議に対し、ヨーロッパを中心におよそ10万人の人々(多くは若者)がロストックや周辺のキャンプに集い、6月2日から本格的な抗議行動を続けています。

今回AMARC(世界コミュニティラジオ放送連盟)ヨーロッパと、ドイツ自由ラジオ放送協会では、「ラジオ・フォーラム」を開催。街の中心部に位置する芸術系学校の校舎を借り受けてメディアセンターを開設。世界中から集まった30名ほどのメンバーと、ドイツ国内から集まった30名ほどのメンバーが協力して、ドイツ語の放送と、多言語での放送(英語、フランス語、スペイン語、イタリア語、ロシア語)を、インターネットと衛星放送を通じて行っています。私は英語チームに、他の3人のメンバー(ブレンダ=南アフリカ、サンギータ=イギリス、ラム=インド)とともに参加しています。

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Photo by Tetsuo Matsuura

毎日毎日、午前9時からのプレス・コンファレンスに参加、会議、その後取材、メディア・センターに帰って編集会議、音声素材の編集、午後7時から8時までの生放送、10時半からのドイツ、国際チーム合同のミーティング、というサイクルです。怒ったり、笑ったり、途中で寝てしまったり・・・、様々な言語や文化背景を持つ人間が、いかに協力して共通の目的のために働けるか・・・このフォーラムは、その当初の呼びかけ文にあったとおり、まさに実験的な試みでした(「共通の目的」とは、今後も継続して考えていかなければいけないテーマなのですが、すこし乱暴に言ってしまえば、「マス・メディアの報道は、そのほとんどが、ドイツ政府、公式G8サミットの広報チームが出すプレスリリースをそのまま、あるいはそれをもとにして行われているので、現実に起こっていることの状況把握や、背景の認識などに、かなり誤認や歪曲がある。またそもそも取り上げられないイベントや人々もたくさんある。それらを溝を少しでも埋めるために、「もう一つ」のメディアである私たちが、『もう一つのG8サミット(Alternative G8 Summit)』主催者のプレスリリースや、様々なNGO、デモンストレーション参加者、ワークショップ参加者、ロストック市民などに協働して取材を行い、継続して報道を行う」という感じ・・・・です。)

毎日会議をしていると、いろいろなテーマや課題が出てきます。そしてそれを解決するためのアイデアやシステムも徐々に整ってきました。

最初は誰がどこへ取材に行くか、という情報の共有も、言葉の壁などが影響して、うまく行きませんでした。初日の会議、ほとんど顔をそろえた国際チームに対し、ドイツチームからは数人の参加しかなく、「本当に協働する気があるのか?」という声が国際チームから多くでました。「どうしてドイツチームが、毎回国際チームのオフィスに降りてこなければいけないのか?」という
意見がドイツチームから出て、会議の会場をひと晩ごとに換えることになりました。

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Photo by Tetsuo Matsuura

言語や習慣の違いなどもあるので、午前中の会議のときに、国際チームの「誰がどこに」とドイツチームの「誰がどこに」を発表し、重なるときにはなるべく国際チームのメンバーに、ドイツチームのメンバーが同行することになりました。

今後ラジオ・フォーラムをどうするのか、例えば来年の日本ではどうするのか、などなど議論のネタはつきません。明日にはラジオ・フォーラムのメンバーの半数や、それを支えてくれた通訳の仲間たち(いったい何言語話すねん!みたいな人々)が、ロストックを離れます。

その後それぞれが今回のフォーラムの評価を行い、それらをまとめ、今後に活かす、ということになります。今回の出会いの中から、世界のラジオ・ジャーナリスト達が、すぐに情報を共有できるようになるシステムも生まれました。例えばウガンダでの出来事について情報やレポートが欲しいときに、検索して、ウガンダのジャーナリストにコンタクトする、というようなことができます。)
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2007年06月08日

「もう1つ」の抗議の仕方 by AMARC取材チーム

【6月6日 ロストック=松浦哲郎、ラムナス・ブハット】
バルト海に面したリゾート、ハイリゲンダムで、G8が6日から開催されています。会場の周辺には高さ2メートルを超えるフェンスがはりめぐらされ、一部のマスメディアを除いては、フェンスを越えて会場に近づくことができません。このフェンスは1キロあたり100万ユーロ(日本円でおよそ1億6千万円)かけてつくられているそうで、環境問題を主要テーマの一つとしてかかげた今回のサミットが終了したあと、このフェンスがどう処理されるのか、注目されています。 

会場に続く道には多くの若者が集まり、道路に座り込むなどして道路の封鎖を試みています。フェンスに設けられた3つのゲートの封鎖も試みられ、そのうち2つは封鎖にされました。そのうちの一つでは、封鎖を試みる若者たちが到着する前に、その行方を警察が幾重にも隊列を組んで塞いだので、「実際には封鎖したのは若者ではなく、警察ではないか」、という皮肉たっぷりの冗談も度々聞かれました。

カラフルな旗を掲げてどこまでも続く平原を歩きゆっくりとゲートに向かう若者、道路に座り込んで音楽を演奏したりする若者などの姿が、本日の新聞の一面を賑わせていました。サミット参加のために訪れた首脳の多くは、空港からヘリコプターで会場入りしました。

ここロストックのキャンプからも多くの若者がフェンスそばへでかけていった影響で、今日のロストックの街ははがらんとしていました本日見かけた警察車両はたったの一台。28度まで気温が上昇した街では、半そでを着た地元の人々がカフェでくつろぐ姿が街のいたるところで見られました。

港に設けられたステージでは、様々な国から訪れたアーティストたちがかわるがわる演奏を行いました。そのうちの一つ、バングラデシュから参加したバンド、「バングラ」の演奏は人々のひときわ大きな拍手を浴びていました。

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Photo by Tetsuo Matsuura/AMARC

ヴォーカルをつとめるのは、バングラデシュの20代の女性、アヌシェ・アナディルさんです。「もっとも貧しい国といわれるバングラデシュの代表として、このイベントに参加しました。私たちのような貧困に苦しむ国の人々のために、このように大勢の人々が集まって行動してくれているのを見て、とてもうれしく思います。でも、警察との衝突などを見るのは悲しいですね。みなさんはバングラデシュと聞くと、その貧しさしか思い浮かばないかも しれませんが、私たちは歌や踊りが大好きで、特に女性は、私が今日ステージでみなさんに見ていただいたように、いつも歌ったり、踊ったりして楽しんでいるんですよ。そういう面も皆さんに知っていただけたらいいな、と思います」と話していました。

明日にはG8の本格的な交渉が始まります。それにともなって、抗議活動も活発になることが予想されます。日本ではこちらのいわゆる「抗議行動」が、とても硬いイメージをもって伝えられているようですが、実際その多くは非常に楽しい雰囲気で行われており、まるで一つのお祭りのようです。ここインデペンデント・メディアセンターにも、幼稚園に通うような小さな子供を連れた若いお父さん、お母さんがたくさん訪れて、他の若者とテントやパラソルの下に座って、 私たちが現地で放送しているラジオを聞いたり、オルタナティブ系の新聞を読んだりして、外が暗くなりはじめる午後の10時ごろまでのんびりとすごしています。

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世界中から集まった30人とドイツ中の自由ラジオから集まった30人ほどの協働によるラジオ放送もいよいよ終盤を迎えます。

「ラジオ・フォーラム」ウェブサイトは
http://radioforum.fm/

同じビルで活動してる「G8 TV」は毎日映像をアップしています。
http://g8-tv.org/

同じく同ビル内で活字情報を毎日アップしているのはIndymedia
http://indymedia.org/

posted by FMわぃわぃ at 10:40| Comment(1) | TrackBack(0) | ポッドキャスト | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

G8は金持ちクラブでいいのか? by 山田太雲(オックスファム)

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Photo by Takumo Yamada/Oxfam Japan

【オックスファムが砂浜で行った「スタント」=メディア向けパフォーマンス。アフリカへの約束を忘れ休暇を楽しむ首脳達を表現している。安倍首相の格好をしているのが筆者】

今日6月6日は3日間のサミットの初日ということになっていますが、実際には各国首脳は夕方にハイリゲンダムに到着、会場となっているホテルの前でそれぞれのパートナーと合わせて16人の写真を撮り、夕食を食べて終わりです。一方、これまでの準備期間に交渉を続けてきた政府代表(「シェルパ」)は、今夜、徹夜で交渉を続けることになっています。通常、サミットは意見が大きく割れることはなく、首脳が着く頃にはすべての決着はついており、それぞれの議題について一日強の間に話をつけ、採択文書を発表しておしまいになります。それが割れたままであるということは、1日でアフリカ、気候変動などの大きな問題について合意に辿り着くことなんて、可能なのか?そんな形の合意で、本当に実質的な解決策が出てくるのか、疑問に思ってしまいます。

各国の意見が割れているのは、私たちオックスファムにとって重要な、「アフリカ」と「気候変動」についてです。

「アフリカ」という議題について、G8は2年前、途上国への開発援助を2010年までに500億ドル追加すること、そのうち250億ドルはアフリカに振り分けることを約束しました。このお金は、オックスファムが世界各地の途上国で推進しているように途上国の経済・社会政策の改革の財源となるもので、現在不足している425万人の保健医療従事者を確保し(スタッフがいなければ診療所も薬も役に立ちません)、すべての子どもたちが学校に通えるようになるための資金にすることができるお金です。

しかし、この約束が2010年までに守られるには、現在のG8諸国の援助額はまったく不十分で、援助を減らしている国すらあります。今回のサミットで、各国首脳がもう一度この目標の存在を認識し、それを守るために大変な努力をする意思を示す必要があります。にもかかわらず、イタリアとカナダが目標の再確認すら拒否し、日本も達成のための強い意志を示す文言に難色を示しているのこと。

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Photo by Craig Owen/Oxfam International

気候変動は、すでに各地で貧しい人々の生活に大きな影響を及ぼしています。昨年私が訪れたケニア東北部では、これまで50年に一度起きていたような旱魃が5年に1度のペースで起きているために、家畜を失ってしまい、大変な飢えに直面していました。バングラデシュでも洪水の頻発かが貧困層の暮らしを圧迫しています。すでに温暖化ガスが大気中に出ているため、これらの人々はこれまでの生活スタイルを諦めて、気候変動の影響に負けない暮らしをしなければなりません。これを行うには莫大なお金がかかり、オックスファムの試算では年に500億ドルが必要となります。しかも、温暖化ガスの大幅削減にすぐに取り掛からなければ、この数字はさらに大きくなります。オックスファムは、気候変動の問題はその原因を作ってきた先進国が責任をもって排出量を削減し、また途上国の「適応」にかかる資金を、貧困削減に必要な「援助」資金の流用で行うのではなく、別の財源から「補償」として提供すべきであるとしています。

これについては、アメリカが全ての国が参加する国連の交渉枠組を拒否して少数国による解決策を提案しているために、まったく合意ができずにいます。日本はアメリカに対し、すでにある最善の枠組み支持を呼びかけるということはしていないようです。

アフリカについても気候についても日本が煮え切らない態度をとっているのは、来年自らが議長を務めるサミットのために「おあずけ」をとっておきたいからでしょうか?しかし2つとも緊急性を要する問題であり、できるだけ早いうちに解決策の土台作りに合意をし、来年のサミットではより具体的なことが議論されるように、努力すべきではないでしょうか?

サミット会場の近くに設置されているメディアセンター(各国の記者が詰めて情報を発信するところ)では、多くの記者がNGOの意見を聞きに動き回っています。BBCの記者は、気候変動の貧困層に与える問題などを非常によく勉強しており、オックスファムのスタッフにも厳しい質問をしていました。一方日本の記者は、まずこういった課題に関心を示さず、北朝鮮の問題を追いかけているようです。NGOについては、私のようなスタッフの人物像を追う記事は書こうとしますが(私もその取材を受けました)、最も重要な議論の中身については、その重要性を認識してもらえていないようです。

そうは言いながらも、今日は日本のNGOの連合体「2008年G8サミットNGOフォーラム」の記者会見を行いました。来年のサミットが日本であることから、記者の関心度も例年よりは高めでした。真剣に質問をしてくる記者もいます。何とかこれを来年までに、中身について議論することが定着した形になるよう、働きかけていきたいと思います。

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Photo by Craig Owen/Oxfam International

それにしても、G8という場所の「高慢さ」には、閉口します。昨日は記者向けに「レセプション」が開かれたのですが、中庭でおいしい料理がシャンペンと共に振舞われ、サーカスのようなショーが展開され、食事や飲み物を運んでくるスタッフは、体の線があらわになる制服を着せられた飛びっきりの美人ばかり。一方で上空を見上げると、外で抗議をするデモ隊を見張るヘリコプターが旋回中。

この10年近く、G8は、「金持ちクラブ」という批判を退けるために、国際課題を積極的に議題にしてきました。良くも悪くも世界中の人々の暮らしに影響を及ぼす国の集まりだからこそ、先進国が一致団結して地球規模の課題に取り組む。そういう姿勢を本気で見せることが、正統性を維持する唯一の道でしょう。しかし、レセプションの様子を見る限りでは、どこまで本当なのか、まったく疑わしくなります。G8が約束を果たさないがために医者にもかかれない女性たち、農作物を売れなくなり貧困に突き落とされる農家の人たちの現実とのあまりのギャップに、自分がこの場にいることをどう理解すればいいのか、考え込んでしまいます。前例好きな日本政府は来年のサミットで、これに倣ったり競い合うようなサミット運営をしないでほしいと思います。

明日、日本の新聞記者の方がケニアから来たオックスファムのスタッフにインタビューすることになりました。「金持ちクラブ」の中で地位を得ることが、日本の関心ごとであることが多いですが、彼らが世界の厳しい視線にハッとするような言葉が伝わることを願っています。

なお、以下のサイトでは、私自身を含む各国のオックスファムのスタッフが、G8に対して求めることをそれぞれの母国語で語る動画がご覧いただけます。ぜひ訪れてみてください。

http://youtube.com/watch?v=6oLM62ouVgY
http://oxfaminternational.wordpress.com/
posted by FMわぃわぃ at 01:38| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年06月06日

暴徒は警察の威嚇と巧みな誘導ゆえ by AMARC取材チーム

【6月5日 ロストック=松浦哲郎、ラムナス・ブハット】
「ロストック・ショック」と地元紙が伝えたG8に対する大規模な抗議行動は、6月2日の開始から、今日で4日目を迎えました。G8各国の首脳らが集う予定のハイリゲンダムから東へ30分、バルト海に注ぐウンタヴァルノ川に面する港町、ロストックは、多くの抗議活動の拠点となっています。港周辺のイベント会場や、市内の3つのキャンプなどには、ドイツや周辺の国々からリュックサックをかついだ若者たちが多数集っています。

初めての大規模行動が行われた6月2日、私たちは市内で行われたデモンストレーションを取材。行進は2つのグループに分かれて行われ、一方には主催者の発表で6万人、もう一方には2万人の人々が参加しました。思い思いのカラフルな衣装に身を包んだ参加者は、音楽や鳴り物に合わせて、港までの5キロほどの道を楽しく、穏やかに行進しました。

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人々の表情が緊張を帯びてきたのは、いよいよ行進も最終地点の
港湾地域に差し掛かったあたりからです。港に通じる道をおびただしい数の警察車両と警察官が取り囲みます。上空ではヘリコプターが旋回。行進の声やイベント会場からの音声が聞き取りにくい状況となり、主催者側から、ヘリコプターを退避されるよう、警察に向かっての要請が何度も続きますが、一向に立ち去る気配をみせません。隊列を組んだ警察官が会場を縦横に駆けながら、 行進する人々に徐々に接近します。警察車両がけたたましいサイレンをならして道路を駆け抜けます。装甲車までが登場し、警察の威嚇は激しさを増します。平和な雰囲気に包まれていたデモンストレーションは一気に緊張につつまれ、一方で無政府主義を掲げるブラック・ブロックと呼ばれる、若者たちの集団が勢いを増し、警察の隊列と対峙。警察とのこぜりあいが生じ、ついに無数の石やビンなどが警察の列に投げ込まれる事態となりました。

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地元紙は一面にこの「暴動」あるいは「暴徒」、そして投げ込まれた石やビンの写真を掲載、この様子を「ロストック・ショック」と紹介しました。しかし、私の目には、そして、オルタナティブな視点からG8を報道するために、港湾近くに設けられたメディア・センターで取材にあたっている、世界中から集まった30名ほどの報道陣の目には、今回の事態は、警察の異常なまでの威嚇と、一部の若者を暴徒化させるための巧みな誘導が引き起こした ものであったと映るのです。

抗議行動主催者によると、この日だけで520人の参加者が負傷、うち20人が重傷、180人の警察官が負傷、うち20人が重傷。165人が逮捕されたとのことです。

首脳会議の開催を明日に控えて、夕方にはアメリカ合衆国のブッシュ大統領が到着します。空港を囲んでの大規模な抗議活動など、様々な活動が本日も計画されており、その行方は予断を許さない状況です。

posted by FMわぃわぃ at 22:24| Comment(0) | TrackBack(0) | ポッドキャスト | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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