2009年07月04日
2007年06月11日
施しではなく正義をーG8閉幕にあたりー by 山田太雲(オックスファム)
Photo by Craig Owen/Oxfam International
サミットが終わりました。
以下、項目ごとに振り返りたいと思います。長くなりますが、ご辛抱ください。
1. 気候変動
世界で最も豊かな8つの国々は、温暖化ガスを2050年までに大幅に削減することに合意しました。このことは、数週間前までブッシュ米大統領が温暖化の問題の存在すら認めようとしなかった事実を考えれば、大きな前進といえるのかもしれません。また、気候変動の影響を最も大きく受ける貧しい国々も参加できる形で解決策を議論するための最善の形である、国連での議論を続けることに、それまで難色を示していたアメリカも合意しました。これらの成果は、議長であったドイツのメルケル首相のリーダーシップによるものだと思います。
しかし、温暖化ガス削減といっても、最大の汚染国である米国やロシアが削減目標を設定せずに済んでいたり、日本、EU、カナダは50%削減としていますが、いつのレベルからの50%なのかについては明記していないため、最終的に温暖化を、壊滅的な影響をもたらす2℃未満に抑えることができるのかどうかはまったく不明です。
また、すでに待機中に出てしまっている温暖化ガスの影響で、今後しばらくは温暖化が悪化することは確実で、その影響によってすでに被害を受けている人々、また今後悪化する被害を抑えるために貧しい国々を支援する必要がありますが、このことについては期限や金額についてまったく合意されておらず、G8は、汚染国としても、富裕国としても責任を果たしていないことになります。
2. アフリカ
G8は今回、「HIV/AIDSその他の感染症対策用に600億ドル拠出する」ことを、最大限に自画自賛しています。たしかに感染症の問題は深刻であり、たくさんの人々が命を落としているため、どのような支援の増額も歓迎されるべきことではあります。しかし、この600億ドルにはすでに約束されていたお金が多分に含まれているほか、何年間にわたっての合計600億ドルなのかもわからないため、HIV/AIDSなどの感染症対策に必要とされている金額をどれだけ満たせるのか、見えづらいのです。3年間という国もあれば10年間という国もあり、結局そのうちの大部分を出すことになっている米国に合わせて平均5年とすると、実は今回の「600億ドル」のうち新規資金は、大きく見積もっても年間30億ドルほどにすぎないことが、オックスファムの試算でわかっています。
Photo by Craig Owen/Oxfam International
しかも今回のサミットで表明された具体的な資金はほぼこれだけであり、2年前にG8自身が約束した、2010年までの援助500億ドル増額、そのうち250億ドルをアフリカへ、という公約達成の道筋がまったく見えていないことには変わりません。サミット前の時点での各国の援助動向からは、2010年時点でG8は約束額を300億ドル下回るという予測が出ていましたが、今回発表された「600億ドル」により、その不足額は270億ドルになったにすぎません。
約束を破っている時点で、そのお金を何よりも必要としている世界の貧困層への背任行為でですが、「600億ドル」という大きく誇張された数字を持ち出すことで、まるで約束を果たしつつあるかのように見せかけるのは、犯罪的とも言えるでしょう。
3. NGO活動の成果
このように結果は、とても問題解決にG8が自らの責任を自覚し、それを果たしたとは言い難いものでした。しかし、それでもオックスファムを始め多くのNGOやそれを支える市民一人一人によるキャンペーン活動は、大きな成果を挙げたといえます。今回のサミットに向けてメルケル首相は当初、議題を先進国間の経済政策の調整というサミットの「原点」に戻そうとしていました。彼女がその態度を変え、地球規模課題(グローバル・イシュー)を議論することにしたのは、市民社会のキャンペーンがあったからこそでした。ドイツではコンサートや署名、新聞広告など様々な活動が展開され、メディアも気候とアフリカの問題を事前から大きく報じ、G8がまともな結論を出すのかどうかに大きく注目しましたし、政府柄の評価と同時にNGO側の評価を、テレビも新聞もとても大きく報じていました(ドイツのメディアの様子がわかるコピーなどを入手次第、アップしたいと思います)。
Photo by Craig Owen/Oxfam International
また、「600億ドル」についても、発表から間もなくオックスファムなどが真実を暴いたために、それが偽りの数字であることがヨーロッパや途上国のメディアでは大きく報じられています。これも、NGOによるアドボカシー活動がなければ、「600億ドル」のまま報じられ、先進国の市民は「わたしたちはアフリカのためにかなり大きな犠牲を払っている」と思い込まされていたことでしょう。そういう意味で、来年の洞爺湖サミットに向けて私たちが負っている責任は非常に重いものがると思いました。
また、ホワイトバンドをシンボルにした世界中のNGOの共同キャンペーン、Global Call to Action against Poverty (GCAP: 日本では「ほっとけない世界のまずしさ」として知られる)が行った記者会見では、アフリカの活動家(HIV陽性の女性も含む)が各国から集まった100人以上の記者を前に、「アフリカは豊かな地下資源を今も外国と、それと結託するエリートに奪われているために、地上の人間が貧しさに追い込まれている。これを解決するためには途上国政府を実質的に民主化すると同時に、貿易のルールを変えるなど、多くの変更をしなければいけないが、その中で『援助』というのは、先進国が行うべき最低限の償いである。我々は施しを求めているのではなく、正義を求めているのだ」と力強い訴えをしていました。これも動画に収めてあるので早いうちにアップしたいと思いますが、彼ら自身の話を聞けば、「援助」という言葉にまとわりつく南北間の上下関係や慈善的な意味合いが吹っ飛び、社会的公正を保障する公共予算であり、富の最還元の問題なんだということがストンと落ちます。私たちもその気持ちで普段から訴えているものの、途上国の人自身の言葉には、比較にならない説得力があります。
オックスファムも、政府筋から情報を集めたり、それを詳しくメディアに知らせたりした他、このGCAPの記者会見の黒子をすると共に、期間中様々なパフォーマンスなどで世界のメディアの関心を引くための活動を会場の外で行いました。「G8はアフリカへの約束を忘れて海辺リゾートで遊んでいる」ということを皮肉るパフォーマンスをしましたが(写真参照)、このときの安倍首相はなんと私でした。バルト海の水は、さすがに冷たく、パンツが濡れた時は悲鳴を上げましたが、これも非常に多くのメディアが撮影に来ており、各国の新聞の一面を飾ったりしています。
4. 「日本」という特殊な国
残念ながら、上記のような盛り上がりは日本の主要なメディアではほとんど報じられていません。気候についても、アフリカについても、ほぼ政府筋の情報をそのまま、検証することもなく報じるのみ(というは、アフリカについては報じもしないことが多いですね)。他の国のメディアが大きく注目している情報やイベントについて、取材にも来ないですし。
聞くところによると、日本のマスコミのG8取材体制は、年々小さくなり、また北朝鮮問題の担当者を送る程度になってきているとのことです。これは、戦後の日本がまた西洋の金持ち国の仲間入りをして、これらの国に認められるかどうかに関心があったことからの延長で考えると、中国の台頭や、日本に影響を与える問題の複雑化を考えると理解できますが、一方でG8が、グローバル化による様々な責任を問われ、それに対応するかどうかが途上国の住民や政府からも厳しく問われ、それがG8諸国の国際的評価などにも直結するようになってきていて、国際政治の大きな熱源になっているというもう1つの変化について、日本のメディアがあまりにも鈍感であることの証でもあります。この鈍感さのまま日本の外交が議論され決定されていくのですから、世界から評価されるべくもありません。「主張する外交」「援助の国益追求・戦略化」を言うのであれば、まずはこういった大きな流れを掴んで、国際益に自らの利益を絡ませるような戦略を練らなければ、結局独り善がりの、「僕はこんなこともできるんだよ、ほら見て」外交に終わってしまいますし、世界のATMとしては頼られても、次の世界をどう作っていくのかというビジョンを求められる時に、話は聞いてもらえないでしょう。
Photo by Craig Owen/Oxfam International
サミット終了後の安倍首相の記者会見を見ましたが、首相からの報告には、2大主要議題の一つであった「アフリカ」については一言も触れられませんでした。また、記者からの質問も北朝鮮と中国に関するものばかりで、来年日本が主催するサミットの議題が何になるのかといった質問すらも出ませんでした。他の首脳の記者会見には、比べ物にならない人数の記者が集まり、今回の合意の内容を厳しく突っ込む質問が出されていました。日本と他国とのこの違いは、サミットに限らず、ありとあらゆる国際会議の現場で見られます。つまり、政府もマスコミも、わざわざ地球の裏側まで飛びながら、国内政治というサナギの中でいつもと同じ議論をして良しとしているのです。そんなところしか見ないから、G8の場であることの意味を見出せず、取材体制を縮小したりするのでしょう。状況認識から対応策まで、すべてが間違えていると思えてなりません。このような現実を見ると(この仕事をしていると、年に1度は同じ現実を見せ付けられるのですが)、NGOの職員という立場を超えて、一日本国民として、また国際舞台で少しは自国を誇りに思いたい世代の1人として、非常に失望をさせられます。
私はオックスファムとしてのメディア活動が、世界的には大成功でも、太平洋と日本海の波の音にかき消されてしまっていることもわかりましたので(それでもいくつかの記事には載りましたが)、アフリカ支援を各国首脳や企業家に呼びかける活動で有名な、ロックバンドU2のボノ氏の取材を、彼が立ち上げたNGO、「DATA」と共催で日本の新聞記者に持ちかけました。さすがに関心度は高く、また、ボノ氏も私からのブリーフィングを受けていたので的確なメッセージを発信してくれたため、非常によい取材となりました。9日の時点で読売新聞に掲載されていることは確認しました。
なんとかリベンジという感じですが、西洋のロックスターの言葉でないと届かない、というのも何とも情けない限りです(芸能人だからというわけではなく、環境の問題にしても、貧困の問題にしても、それを政治の問題として訴える著名人は日本では非常に少ないですし、人気のピークにある芸能人ではほとんどいませんよね)。
さて、来年は北海道は洞爺湖でのサミットです。オックスファムを始め、日本のNGOがしっかりし、マスコミがしっかりし、政府に国際的な問題への取り組みや、交わした約束についての説明責任を問い、日本政府も自国のイニシアティブを発表して満足するのではなく、国際目標実現から逆算した課題を他国に突きつけ、解決に向けた実質的な貢献を促すことで、主導権を発揮する…。そうなれば理想ですが、難しそうであるということも確かです。
しかし、1度のサミットが戦いのすべてではありません。このサミットをきっかけに、国際課題へのドイツ政府の責任を問う世論は、ドイツで確実に大きくなりました。英国ではずっと前からその議論がされてきており、また2005年のサミットでは「アフリカ」についての議論が盛んに行われたために、世論調査によると、英国民が選挙の際に最も重要視する課題ランキングで、「世界の貧困問題への取り組み」が4〜5位になるという事態が起きています。日本人も同じ人間。ちゃんとした情報が行き渡り、「自分」と「相手」との心の中の国境さえ取り払われれば、かならず世論は起こるだろうし、それが来年のサミットで日本政府を突き動かすに至らなくとも、長期的にはそのような世論を大きくしていくことが必ず変化につながることは間違いありません。
私も今後1年の間に、できるだけ皆様の前に登場できるようにがんばりますので、よろしくお願いします。
2007年06月10日
オルタナティブG8サミットの経験は来年に生きるか by 松浦哲郎(AMARC)
G8サミットが8日に閉幕したのにあわせて、ドイツ北東部に位置する港町ロストックを中心に開催されていた「オルタナティブG8サミット」も、その幕を閉じました。並行して行われていた「ラジオ・フォーラム」も、その活動を無事終了しました。それまで別々に放送をしていたドイツ語チームと多言語チームはこの日、同一のスタジオに入って、一つの番組を放送しました。様々なメンバーが入れ替わり立ち代りマイクの前に立ち、様々な言語で会話を続けました。リスナーの皆さんには聞きづらい放送だったかもしれませんが、参加したメンバーにとってはとてもよい思い出となりました。放送後ははじめて皆でビールを飲みながら、今回の活動について、そして今後について夜遅くまで語り合いました。
私がドイツに来る前にフォーラムの主催者から受け取った手紙には、今回のフォーラムはかつてない「実験(Experiment)」の場になるでしょう、と書かれていました。私はもしかするとこれは、「経験(Experience)」の間違いではないのか・・・と思いながらロストックに入りました。およそ20カ国から参加したメンバーとの1週間の共同作業を終えたいま、それが間違いではなかった、まさにここは「実験」の場だったのだ、と実感しています。もちろんそれがすばらしい「経験」でもあったことは、言うまでもありません。
ベルリンから列車に揺られること3時間、6月1日の真夜中に私はロストック駅に着きました。駅には多数の警察官、警察犬が配置され、非常に物々しい雰囲気でした。翌日の2日からは本格的なデモンストレーション等が行われ、その中で「ブロック・ブラック」と呼ばれる無政府主義を叫ぶ若者集団を中心に、投石などが行われ、多数の負傷者、逮捕者を出しました。ドイツ国内のマス・メディアではこのことがセンセーショナルに報じられ、今回のG8反対行動を自らの宣伝の場、勢力拡大の場と位置付けて力を注いできたレフト・ウィングの政党、政治集団を落胆させました。しかしこの「暴動」が、警察によって多分に意図され、その威嚇や誘導によって引き起こされた可能性が高いということは、以前のレポートでも紹介させていただきました。
「オルタナティブG8サミット」主催者のプレス会議では、ブラック・ブロックのメンバーを装ってマスクをした私服警官が、若者たちに「石を投げよう」と誘いをかけていた、という事例が報告されました。その場にいた15人ほどの若者が、マスクをはずすように迫ったにも関わらず、それをかたくなに拒否。IDの提示も拒否をした、とのことです。もし本当にブラック・ブロックのメンバーなら、どうして仲間の前で、マスクをはずせなかったのでしょうか。もちろん警察はこの事実を否定しています。
また、ベルリンから派遣された警察官たちは、日頃このようなデモンストレーションに慣れているので、かなり冷静に対応したが、地元の警察官は不慣れで、若者と対峙した際に、感情的になり(恐怖や戸惑いもあったでしょう)、手を出してしまったのでは、という見方もありました。いずれにしても、銃や防弾チョッキ、ヘルメットなどで完全武装した警察官が、Tシャツ姿の若者を殴る、蹴る、しているのを見るのは、非常に胸の痛む経験でした。
「ずっとロストックに住んでいるけど、こんなことは初めてだよ。いくらなんでも警察はやりすぎじゃないのかね。昨日は交通が遮断されたために、ずっと家に帰れなかったんだよ」と、5日のデモンストレーションの途中で出会った初老の男性は語っていました。同じデモンストレーションを見学していた2人の若者は「警察は自分たちの力を見せたいだけだ。こんなお金の無駄づかいはやめるべきだ。」と口をそろえていました。一方で、「ナチスの集団が来るかも知れないから、警備は必要だと思う」という地元の大学生もいました。事実200人ほどのナチスの集団がロストックを目指しましたが、途中で警察によって防がれたそうです。
7日、8日は、ロストック市内での全てのデモンストレーションを禁止する決定が裁判所から出された影響もあり、人々は港湾地域に設けられたステージ前に集まり、オルタナティブG8サミット主催者やゲストのスピーチ、世界中から集まったミュージシャンたちの演奏に聞き入りました。思い思いの主張を書いたプラカードが掲げられ、色とりどりの旗がはためき、会場は穏やかな雰囲気に包まれていました。
「レフト・ウィングの政党の人たちがすごく喜んでいたよ。僕の知る限りでは、レフト・ウィングがこれだけの成功を収めたのは初めてだね」。ドイツで最も歴史ある都市トリーアの地元紙に務める新聞記者は言いました。「最初の日の彼等の落ち込みようはすごかったよ。『とんでもないことになってしまった。これでオルタナティブG8サミットも失敗だ』と。でもその後はとても平和的にデモンストレーションが進んだおかげで、マス・メディアの論調もだんだん変わってきたんだ。G8の会場になったハイリゲンダムへ続く道路を封鎖した若者に、近所の人々が食べ物を差し入れたりする光景も見たよ」。
会場で取材を行っていた、日本のあるキー・テレビ局のロンドン支局に勤める女性は言っていました。「日本ではG8自体への関心が低いから、こういうカラフルなお祭りの様子だとか、そういうのしか送れないんですよねぇ」。実際他にもいくつかの日本のテレビ局が取材に訪れていました。「ヨーロッパの状況と日本の状況はずいぶん違うんですけど、それを日本の局の人がなかなか理解してくれないんで、こちらで取材してる人間はかなりストレス溜まってるんですよねぇ」。
G8が閉幕して一夜明けた今日、ロストックの街をゆっくり歩いてみて、街行く車に日本車が極めて少ないことに改めて気がつきました。100台に数台、というところでしょうか。いろいろな国に行きましたが、ここまで日本車が少ないのは初めてです。当然といえば当然ですが・・・ここは自動車の国、そして経済大国ドイツ。しかしロストックで出会った若者は言いました。「ロストックは死んでいる。」
その昔、ハンザ同盟の主要都市として栄えたロストック。現在の人口は20万人。観光が街を支えています。風光明媚な土地ですが、街には廃墟のようになった工場跡などが点在しています。ロストックが位置する旧東ドイツ地域では、依然として旧西ドイツとの経済・社会格差が大きく、失業率も高いままで推移しています。無政府主義を掲げ、現政府を痛烈に批判する「ブラック・ブロック」が、若者の社会に対するフラストレーションの受け皿の一つとして機能しているのだ、とフォーラム開催中ホームステイをさせてくれた地元ロストック大学の学生が教えてくれました。
インディペンデント・メディア・センターの周囲を埋め尽くした警察車両も、今日はすっかりなくなりました。29歳で今回のラジオ・フォーラムのコーディネイトを買って出た、地元ラジオ局ラジオ・ロロのスタッフ、ファルクも、「また日本で会えるといいね」と言って、愛犬マーヤを連れて事務所を後にしました。今は私と、インドから参加したラムだけが残って、「来年はどうなるのかなぁ」なんて話をしながらパソコンに向かっています。今回そのユニークな抗議方法で一躍有名なった「クラウン・アーミー(ピエロの兵隊)」は再び現れるでしょうか。いろいろなことが頭の中をグルグルとまわっています。
10日にはベルリンに向かい、次の日の飛行機で帰国します。
(松浦哲郎)
私がドイツに来る前にフォーラムの主催者から受け取った手紙には、今回のフォーラムはかつてない「実験(Experiment)」の場になるでしょう、と書かれていました。私はもしかするとこれは、「経験(Experience)」の間違いではないのか・・・と思いながらロストックに入りました。およそ20カ国から参加したメンバーとの1週間の共同作業を終えたいま、それが間違いではなかった、まさにここは「実験」の場だったのだ、と実感しています。もちろんそれがすばらしい「経験」でもあったことは、言うまでもありません。
ベルリンから列車に揺られること3時間、6月1日の真夜中に私はロストック駅に着きました。駅には多数の警察官、警察犬が配置され、非常に物々しい雰囲気でした。翌日の2日からは本格的なデモンストレーション等が行われ、その中で「ブロック・ブラック」と呼ばれる無政府主義を叫ぶ若者集団を中心に、投石などが行われ、多数の負傷者、逮捕者を出しました。ドイツ国内のマス・メディアではこのことがセンセーショナルに報じられ、今回のG8反対行動を自らの宣伝の場、勢力拡大の場と位置付けて力を注いできたレフト・ウィングの政党、政治集団を落胆させました。しかしこの「暴動」が、警察によって多分に意図され、その威嚇や誘導によって引き起こされた可能性が高いということは、以前のレポートでも紹介させていただきました。
「オルタナティブG8サミット」主催者のプレス会議では、ブラック・ブロックのメンバーを装ってマスクをした私服警官が、若者たちに「石を投げよう」と誘いをかけていた、という事例が報告されました。その場にいた15人ほどの若者が、マスクをはずすように迫ったにも関わらず、それをかたくなに拒否。IDの提示も拒否をした、とのことです。もし本当にブラック・ブロックのメンバーなら、どうして仲間の前で、マスクをはずせなかったのでしょうか。もちろん警察はこの事実を否定しています。
また、ベルリンから派遣された警察官たちは、日頃このようなデモンストレーションに慣れているので、かなり冷静に対応したが、地元の警察官は不慣れで、若者と対峙した際に、感情的になり(恐怖や戸惑いもあったでしょう)、手を出してしまったのでは、という見方もありました。いずれにしても、銃や防弾チョッキ、ヘルメットなどで完全武装した警察官が、Tシャツ姿の若者を殴る、蹴る、しているのを見るのは、非常に胸の痛む経験でした。
「ずっとロストックに住んでいるけど、こんなことは初めてだよ。いくらなんでも警察はやりすぎじゃないのかね。昨日は交通が遮断されたために、ずっと家に帰れなかったんだよ」と、5日のデモンストレーションの途中で出会った初老の男性は語っていました。同じデモンストレーションを見学していた2人の若者は「警察は自分たちの力を見せたいだけだ。こんなお金の無駄づかいはやめるべきだ。」と口をそろえていました。一方で、「ナチスの集団が来るかも知れないから、警備は必要だと思う」という地元の大学生もいました。事実200人ほどのナチスの集団がロストックを目指しましたが、途中で警察によって防がれたそうです。
7日、8日は、ロストック市内での全てのデモンストレーションを禁止する決定が裁判所から出された影響もあり、人々は港湾地域に設けられたステージ前に集まり、オルタナティブG8サミット主催者やゲストのスピーチ、世界中から集まったミュージシャンたちの演奏に聞き入りました。思い思いの主張を書いたプラカードが掲げられ、色とりどりの旗がはためき、会場は穏やかな雰囲気に包まれていました。
「レフト・ウィングの政党の人たちがすごく喜んでいたよ。僕の知る限りでは、レフト・ウィングがこれだけの成功を収めたのは初めてだね」。ドイツで最も歴史ある都市トリーアの地元紙に務める新聞記者は言いました。「最初の日の彼等の落ち込みようはすごかったよ。『とんでもないことになってしまった。これでオルタナティブG8サミットも失敗だ』と。でもその後はとても平和的にデモンストレーションが進んだおかげで、マス・メディアの論調もだんだん変わってきたんだ。G8の会場になったハイリゲンダムへ続く道路を封鎖した若者に、近所の人々が食べ物を差し入れたりする光景も見たよ」。
会場で取材を行っていた、日本のあるキー・テレビ局のロンドン支局に勤める女性は言っていました。「日本ではG8自体への関心が低いから、こういうカラフルなお祭りの様子だとか、そういうのしか送れないんですよねぇ」。実際他にもいくつかの日本のテレビ局が取材に訪れていました。「ヨーロッパの状況と日本の状況はずいぶん違うんですけど、それを日本の局の人がなかなか理解してくれないんで、こちらで取材してる人間はかなりストレス溜まってるんですよねぇ」。
G8が閉幕して一夜明けた今日、ロストックの街をゆっくり歩いてみて、街行く車に日本車が極めて少ないことに改めて気がつきました。100台に数台、というところでしょうか。いろいろな国に行きましたが、ここまで日本車が少ないのは初めてです。当然といえば当然ですが・・・ここは自動車の国、そして経済大国ドイツ。しかしロストックで出会った若者は言いました。「ロストックは死んでいる。」
その昔、ハンザ同盟の主要都市として栄えたロストック。現在の人口は20万人。観光が街を支えています。風光明媚な土地ですが、街には廃墟のようになった工場跡などが点在しています。ロストックが位置する旧東ドイツ地域では、依然として旧西ドイツとの経済・社会格差が大きく、失業率も高いままで推移しています。無政府主義を掲げ、現政府を痛烈に批判する「ブラック・ブロック」が、若者の社会に対するフラストレーションの受け皿の一つとして機能しているのだ、とフォーラム開催中ホームステイをさせてくれた地元ロストック大学の学生が教えてくれました。
インディペンデント・メディア・センターの周囲を埋め尽くした警察車両も、今日はすっかりなくなりました。29歳で今回のラジオ・フォーラムのコーディネイトを買って出た、地元ラジオ局ラジオ・ロロのスタッフ、ファルクも、「また日本で会えるといいね」と言って、愛犬マーヤを連れて事務所を後にしました。今は私と、インドから参加したラムだけが残って、「来年はどうなるのかなぁ」なんて話をしながらパソコンに向かっています。今回そのユニークな抗議方法で一躍有名なった「クラウン・アーミー(ピエロの兵隊)」は再び現れるでしょうか。いろいろなことが頭の中をグルグルとまわっています。
10日にはベルリンに向かい、次の日の飛行機で帰国します。
(松浦哲郎)
2007年06月09日
「もう一つ」のメディアの活動は続く by 松浦哲郎(AMARC)
Photo by Tetsuo Matsuura
6月1日の真夜中に、バルト海に面した街、ロストック(人口およそ20万人。旧ハンザ同盟の主要都市の一つ。サミット会場のハイリゲンダムからは車で東へ30分。多くのデモンストレーションの拠点となっている)に入りました。
G8(主要国首脳会議)といういかにもけったいな名前の会議に対し、ヨーロッパを中心におよそ10万人の人々(多くは若者)がロストックや周辺のキャンプに集い、6月2日から本格的な抗議行動を続けています。
今回AMARC(世界コミュニティラジオ放送連盟)ヨーロッパと、ドイツ自由ラジオ放送協会では、「ラジオ・フォーラム」を開催。街の中心部に位置する芸術系学校の校舎を借り受けてメディアセンターを開設。世界中から集まった30名ほどのメンバーと、ドイツ国内から集まった30名ほどのメンバーが協力して、ドイツ語の放送と、多言語での放送(英語、フランス語、スペイン語、イタリア語、ロシア語)を、インターネットと衛星放送を通じて行っています。私は英語チームに、他の3人のメンバー(ブレンダ=南アフリカ、サンギータ=イギリス、ラム=インド)とともに参加しています。
Photo by Tetsuo Matsuura
毎日毎日、午前9時からのプレス・コンファレンスに参加、会議、その後取材、メディア・センターに帰って編集会議、音声素材の編集、午後7時から8時までの生放送、10時半からのドイツ、国際チーム合同のミーティング、というサイクルです。怒ったり、笑ったり、途中で寝てしまったり・・・、様々な言語や文化背景を持つ人間が、いかに協力して共通の目的のために働けるか・・・このフォーラムは、その当初の呼びかけ文にあったとおり、まさに実験的な試みでした(「共通の目的」とは、今後も継続して考えていかなければいけないテーマなのですが、すこし乱暴に言ってしまえば、「マス・メディアの報道は、そのほとんどが、ドイツ政府、公式G8サミットの広報チームが出すプレスリリースをそのまま、あるいはそれをもとにして行われているので、現実に起こっていることの状況把握や、背景の認識などに、かなり誤認や歪曲がある。またそもそも取り上げられないイベントや人々もたくさんある。それらを溝を少しでも埋めるために、「もう一つ」のメディアである私たちが、『もう一つのG8サミット(Alternative G8 Summit)』主催者のプレスリリースや、様々なNGO、デモンストレーション参加者、ワークショップ参加者、ロストック市民などに協働して取材を行い、継続して報道を行う」という感じ・・・・です。)
毎日会議をしていると、いろいろなテーマや課題が出てきます。そしてそれを解決するためのアイデアやシステムも徐々に整ってきました。
最初は誰がどこへ取材に行くか、という情報の共有も、言葉の壁などが影響して、うまく行きませんでした。初日の会議、ほとんど顔をそろえた国際チームに対し、ドイツチームからは数人の参加しかなく、「本当に協働する気があるのか?」という声が国際チームから多くでました。「どうしてドイツチームが、毎回国際チームのオフィスに降りてこなければいけないのか?」という
意見がドイツチームから出て、会議の会場をひと晩ごとに換えることになりました。
Photo by Tetsuo Matsuura
言語や習慣の違いなどもあるので、午前中の会議のときに、国際チームの「誰がどこに」とドイツチームの「誰がどこに」を発表し、重なるときにはなるべく国際チームのメンバーに、ドイツチームのメンバーが同行することになりました。
今後ラジオ・フォーラムをどうするのか、例えば来年の日本ではどうするのか、などなど議論のネタはつきません。明日にはラジオ・フォーラムのメンバーの半数や、それを支えてくれた通訳の仲間たち(いったい何言語話すねん!みたいな人々)が、ロストックを離れます。
その後それぞれが今回のフォーラムの評価を行い、それらをまとめ、今後に活かす、ということになります。今回の出会いの中から、世界のラジオ・ジャーナリスト達が、すぐに情報を共有できるようになるシステムも生まれました。例えばウガンダでの出来事について情報やレポートが欲しいときに、検索して、ウガンダのジャーナリストにコンタクトする、というようなことができます。)
2007年06月08日
「もう1つ」の抗議の仕方 by AMARC取材チーム
【6月6日 ロストック=松浦哲郎、ラムナス・ブハット】
バルト海に面したリゾート、ハイリゲンダムで、G8が6日から開催されています。会場の周辺には高さ2メートルを超えるフェンスがはりめぐらされ、一部のマスメディアを除いては、フェンスを越えて会場に近づくことができません。このフェンスは1キロあたり100万ユーロ(日本円でおよそ1億6千万円)かけてつくられているそうで、環境問題を主要テーマの一つとしてかかげた今回のサミットが終了したあと、このフェンスがどう処理されるのか、注目されています。
会場に続く道には多くの若者が集まり、道路に座り込むなどして道路の封鎖を試みています。フェンスに設けられた3つのゲートの封鎖も試みられ、そのうち2つは封鎖にされました。そのうちの一つでは、封鎖を試みる若者たちが到着する前に、その行方を警察が幾重にも隊列を組んで塞いだので、「実際には封鎖したのは若者ではなく、警察ではないか」、という皮肉たっぷりの冗談も度々聞かれました。
カラフルな旗を掲げてどこまでも続く平原を歩きゆっくりとゲートに向かう若者、道路に座り込んで音楽を演奏したりする若者などの姿が、本日の新聞の一面を賑わせていました。サミット参加のために訪れた首脳の多くは、空港からヘリコプターで会場入りしました。
ここロストックのキャンプからも多くの若者がフェンスそばへでかけていった影響で、今日のロストックの街ははがらんとしていました本日見かけた警察車両はたったの一台。28度まで気温が上昇した街では、半そでを着た地元の人々がカフェでくつろぐ姿が街のいたるところで見られました。
港に設けられたステージでは、様々な国から訪れたアーティストたちがかわるがわる演奏を行いました。そのうちの一つ、バングラデシュから参加したバンド、「バングラ」の演奏は人々のひときわ大きな拍手を浴びていました。

Photo by Tetsuo Matsuura/AMARC
ヴォーカルをつとめるのは、バングラデシュの20代の女性、アヌシェ・アナディルさんです。「もっとも貧しい国といわれるバングラデシュの代表として、このイベントに参加しました。私たちのような貧困に苦しむ国の人々のために、このように大勢の人々が集まって行動してくれているのを見て、とてもうれしく思います。でも、警察との衝突などを見るのは悲しいですね。みなさんはバングラデシュと聞くと、その貧しさしか思い浮かばないかも しれませんが、私たちは歌や踊りが大好きで、特に女性は、私が今日ステージでみなさんに見ていただいたように、いつも歌ったり、踊ったりして楽しんでいるんですよ。そういう面も皆さんに知っていただけたらいいな、と思います」と話していました。
明日にはG8の本格的な交渉が始まります。それにともなって、抗議活動も活発になることが予想されます。日本ではこちらのいわゆる「抗議行動」が、とても硬いイメージをもって伝えられているようですが、実際その多くは非常に楽しい雰囲気で行われており、まるで一つのお祭りのようです。ここインデペンデント・メディアセンターにも、幼稚園に通うような小さな子供を連れた若いお父さん、お母さんがたくさん訪れて、他の若者とテントやパラソルの下に座って、 私たちが現地で放送しているラジオを聞いたり、オルタナティブ系の新聞を読んだりして、外が暗くなりはじめる午後の10時ごろまでのんびりとすごしています。

世界中から集まった30人とドイツ中の自由ラジオから集まった30人ほどの協働によるラジオ放送もいよいよ終盤を迎えます。
「ラジオ・フォーラム」ウェブサイトは
http://radioforum.fm/
同じビルで活動してる「G8 TV」は毎日映像をアップしています。
http://g8-tv.org/
同じく同ビル内で活字情報を毎日アップしているのはIndymedia
http://indymedia.org/
バルト海に面したリゾート、ハイリゲンダムで、G8が6日から開催されています。会場の周辺には高さ2メートルを超えるフェンスがはりめぐらされ、一部のマスメディアを除いては、フェンスを越えて会場に近づくことができません。このフェンスは1キロあたり100万ユーロ(日本円でおよそ1億6千万円)かけてつくられているそうで、環境問題を主要テーマの一つとしてかかげた今回のサミットが終了したあと、このフェンスがどう処理されるのか、注目されています。
会場に続く道には多くの若者が集まり、道路に座り込むなどして道路の封鎖を試みています。フェンスに設けられた3つのゲートの封鎖も試みられ、そのうち2つは封鎖にされました。そのうちの一つでは、封鎖を試みる若者たちが到着する前に、その行方を警察が幾重にも隊列を組んで塞いだので、「実際には封鎖したのは若者ではなく、警察ではないか」、という皮肉たっぷりの冗談も度々聞かれました。
カラフルな旗を掲げてどこまでも続く平原を歩きゆっくりとゲートに向かう若者、道路に座り込んで音楽を演奏したりする若者などの姿が、本日の新聞の一面を賑わせていました。サミット参加のために訪れた首脳の多くは、空港からヘリコプターで会場入りしました。
ここロストックのキャンプからも多くの若者がフェンスそばへでかけていった影響で、今日のロストックの街ははがらんとしていました本日見かけた警察車両はたったの一台。28度まで気温が上昇した街では、半そでを着た地元の人々がカフェでくつろぐ姿が街のいたるところで見られました。
港に設けられたステージでは、様々な国から訪れたアーティストたちがかわるがわる演奏を行いました。そのうちの一つ、バングラデシュから参加したバンド、「バングラ」の演奏は人々のひときわ大きな拍手を浴びていました。
Photo by Tetsuo Matsuura/AMARC
ヴォーカルをつとめるのは、バングラデシュの20代の女性、アヌシェ・アナディルさんです。「もっとも貧しい国といわれるバングラデシュの代表として、このイベントに参加しました。私たちのような貧困に苦しむ国の人々のために、このように大勢の人々が集まって行動してくれているのを見て、とてもうれしく思います。でも、警察との衝突などを見るのは悲しいですね。みなさんはバングラデシュと聞くと、その貧しさしか思い浮かばないかも しれませんが、私たちは歌や踊りが大好きで、特に女性は、私が今日ステージでみなさんに見ていただいたように、いつも歌ったり、踊ったりして楽しんでいるんですよ。そういう面も皆さんに知っていただけたらいいな、と思います」と話していました。
明日にはG8の本格的な交渉が始まります。それにともなって、抗議活動も活発になることが予想されます。日本ではこちらのいわゆる「抗議行動」が、とても硬いイメージをもって伝えられているようですが、実際その多くは非常に楽しい雰囲気で行われており、まるで一つのお祭りのようです。ここインデペンデント・メディアセンターにも、幼稚園に通うような小さな子供を連れた若いお父さん、お母さんがたくさん訪れて、他の若者とテントやパラソルの下に座って、 私たちが現地で放送しているラジオを聞いたり、オルタナティブ系の新聞を読んだりして、外が暗くなりはじめる午後の10時ごろまでのんびりとすごしています。
世界中から集まった30人とドイツ中の自由ラジオから集まった30人ほどの協働によるラジオ放送もいよいよ終盤を迎えます。
「ラジオ・フォーラム」ウェブサイトは
http://radioforum.fm/
同じビルで活動してる「G8 TV」は毎日映像をアップしています。
http://g8-tv.org/
同じく同ビル内で活字情報を毎日アップしているのはIndymedia
http://indymedia.org/
G8は金持ちクラブでいいのか? by 山田太雲(オックスファム)
Photo by Takumo Yamada/Oxfam Japan
【オックスファムが砂浜で行った「スタント」=メディア向けパフォーマンス。アフリカへの約束を忘れ休暇を楽しむ首脳達を表現している。安倍首相の格好をしているのが筆者】
今日6月6日は3日間のサミットの初日ということになっていますが、実際には各国首脳は夕方にハイリゲンダムに到着、会場となっているホテルの前でそれぞれのパートナーと合わせて16人の写真を撮り、夕食を食べて終わりです。一方、これまでの準備期間に交渉を続けてきた政府代表(「シェルパ」)は、今夜、徹夜で交渉を続けることになっています。通常、サミットは意見が大きく割れることはなく、首脳が着く頃にはすべての決着はついており、それぞれの議題について一日強の間に話をつけ、採択文書を発表しておしまいになります。それが割れたままであるということは、1日でアフリカ、気候変動などの大きな問題について合意に辿り着くことなんて、可能なのか?そんな形の合意で、本当に実質的な解決策が出てくるのか、疑問に思ってしまいます。
各国の意見が割れているのは、私たちオックスファムにとって重要な、「アフリカ」と「気候変動」についてです。
「アフリカ」という議題について、G8は2年前、途上国への開発援助を2010年までに500億ドル追加すること、そのうち250億ドルはアフリカに振り分けることを約束しました。このお金は、オックスファムが世界各地の途上国で推進しているように途上国の経済・社会政策の改革の財源となるもので、現在不足している425万人の保健医療従事者を確保し(スタッフがいなければ診療所も薬も役に立ちません)、すべての子どもたちが学校に通えるようになるための資金にすることができるお金です。
しかし、この約束が2010年までに守られるには、現在のG8諸国の援助額はまったく不十分で、援助を減らしている国すらあります。今回のサミットで、各国首脳がもう一度この目標の存在を認識し、それを守るために大変な努力をする意思を示す必要があります。にもかかわらず、イタリアとカナダが目標の再確認すら拒否し、日本も達成のための強い意志を示す文言に難色を示しているのこと。
Photo by Craig Owen/Oxfam International
気候変動は、すでに各地で貧しい人々の生活に大きな影響を及ぼしています。昨年私が訪れたケニア東北部では、これまで50年に一度起きていたような旱魃が5年に1度のペースで起きているために、家畜を失ってしまい、大変な飢えに直面していました。バングラデシュでも洪水の頻発かが貧困層の暮らしを圧迫しています。すでに温暖化ガスが大気中に出ているため、これらの人々はこれまでの生活スタイルを諦めて、気候変動の影響に負けない暮らしをしなければなりません。これを行うには莫大なお金がかかり、オックスファムの試算では年に500億ドルが必要となります。しかも、温暖化ガスの大幅削減にすぐに取り掛からなければ、この数字はさらに大きくなります。オックスファムは、気候変動の問題はその原因を作ってきた先進国が責任をもって排出量を削減し、また途上国の「適応」にかかる資金を、貧困削減に必要な「援助」資金の流用で行うのではなく、別の財源から「補償」として提供すべきであるとしています。
これについては、アメリカが全ての国が参加する国連の交渉枠組を拒否して少数国による解決策を提案しているために、まったく合意ができずにいます。日本はアメリカに対し、すでにある最善の枠組み支持を呼びかけるということはしていないようです。
アフリカについても気候についても日本が煮え切らない態度をとっているのは、来年自らが議長を務めるサミットのために「おあずけ」をとっておきたいからでしょうか?しかし2つとも緊急性を要する問題であり、できるだけ早いうちに解決策の土台作りに合意をし、来年のサミットではより具体的なことが議論されるように、努力すべきではないでしょうか?
サミット会場の近くに設置されているメディアセンター(各国の記者が詰めて情報を発信するところ)では、多くの記者がNGOの意見を聞きに動き回っています。BBCの記者は、気候変動の貧困層に与える問題などを非常によく勉強しており、オックスファムのスタッフにも厳しい質問をしていました。一方日本の記者は、まずこういった課題に関心を示さず、北朝鮮の問題を追いかけているようです。NGOについては、私のようなスタッフの人物像を追う記事は書こうとしますが(私もその取材を受けました)、最も重要な議論の中身については、その重要性を認識してもらえていないようです。
そうは言いながらも、今日は日本のNGOの連合体「2008年G8サミットNGOフォーラム」の記者会見を行いました。来年のサミットが日本であることから、記者の関心度も例年よりは高めでした。真剣に質問をしてくる記者もいます。何とかこれを来年までに、中身について議論することが定着した形になるよう、働きかけていきたいと思います。
Photo by Craig Owen/Oxfam International
それにしても、G8という場所の「高慢さ」には、閉口します。昨日は記者向けに「レセプション」が開かれたのですが、中庭でおいしい料理がシャンペンと共に振舞われ、サーカスのようなショーが展開され、食事や飲み物を運んでくるスタッフは、体の線があらわになる制服を着せられた飛びっきりの美人ばかり。一方で上空を見上げると、外で抗議をするデモ隊を見張るヘリコプターが旋回中。
この10年近く、G8は、「金持ちクラブ」という批判を退けるために、国際課題を積極的に議題にしてきました。良くも悪くも世界中の人々の暮らしに影響を及ぼす国の集まりだからこそ、先進国が一致団結して地球規模の課題に取り組む。そういう姿勢を本気で見せることが、正統性を維持する唯一の道でしょう。しかし、レセプションの様子を見る限りでは、どこまで本当なのか、まったく疑わしくなります。G8が約束を果たさないがために医者にもかかれない女性たち、農作物を売れなくなり貧困に突き落とされる農家の人たちの現実とのあまりのギャップに、自分がこの場にいることをどう理解すればいいのか、考え込んでしまいます。前例好きな日本政府は来年のサミットで、これに倣ったり競い合うようなサミット運営をしないでほしいと思います。
明日、日本の新聞記者の方がケニアから来たオックスファムのスタッフにインタビューすることになりました。「金持ちクラブ」の中で地位を得ることが、日本の関心ごとであることが多いですが、彼らが世界の厳しい視線にハッとするような言葉が伝わることを願っています。
なお、以下のサイトでは、私自身を含む各国のオックスファムのスタッフが、G8に対して求めることをそれぞれの母国語で語る動画がご覧いただけます。ぜひ訪れてみてください。
http://youtube.com/watch?v=6oLM62ouVgY
http://oxfaminternational.wordpress.com/
2007年06月06日
暴徒は警察の威嚇と巧みな誘導ゆえ by AMARC取材チーム
【6月5日 ロストック=松浦哲郎、ラムナス・ブハット】
「ロストック・ショック」と地元紙が伝えたG8に対する大規模な抗議行動は、6月2日の開始から、今日で4日目を迎えました。G8各国の首脳らが集う予定のハイリゲンダムから東へ30分、バルト海に注ぐウンタヴァルノ川に面する港町、ロストックは、多くの抗議活動の拠点となっています。港周辺のイベント会場や、市内の3つのキャンプなどには、ドイツや周辺の国々からリュックサックをかついだ若者たちが多数集っています。
初めての大規模行動が行われた6月2日、私たちは市内で行われたデモンストレーションを取材。行進は2つのグループに分かれて行われ、一方には主催者の発表で6万人、もう一方には2万人の人々が参加しました。思い思いのカラフルな衣装に身を包んだ参加者は、音楽や鳴り物に合わせて、港までの5キロほどの道を楽しく、穏やかに行進しました。

人々の表情が緊張を帯びてきたのは、いよいよ行進も最終地点の
港湾地域に差し掛かったあたりからです。港に通じる道をおびただしい数の警察車両と警察官が取り囲みます。上空ではヘリコプターが旋回。行進の声やイベント会場からの音声が聞き取りにくい状況となり、主催者側から、ヘリコプターを退避されるよう、警察に向かっての要請が何度も続きますが、一向に立ち去る気配をみせません。隊列を組んだ警察官が会場を縦横に駆けながら、 行進する人々に徐々に接近します。警察車両がけたたましいサイレンをならして道路を駆け抜けます。装甲車までが登場し、警察の威嚇は激しさを増します。平和な雰囲気に包まれていたデモンストレーションは一気に緊張につつまれ、一方で無政府主義を掲げるブラック・ブロックと呼ばれる、若者たちの集団が勢いを増し、警察の隊列と対峙。警察とのこぜりあいが生じ、ついに無数の石やビンなどが警察の列に投げ込まれる事態となりました。

地元紙は一面にこの「暴動」あるいは「暴徒」、そして投げ込まれた石やビンの写真を掲載、この様子を「ロストック・ショック」と紹介しました。しかし、私の目には、そして、オルタナティブな視点からG8を報道するために、港湾近くに設けられたメディア・センターで取材にあたっている、世界中から集まった30名ほどの報道陣の目には、今回の事態は、警察の異常なまでの威嚇と、一部の若者を暴徒化させるための巧みな誘導が引き起こした ものであったと映るのです。
抗議行動主催者によると、この日だけで520人の参加者が負傷、うち20人が重傷、180人の警察官が負傷、うち20人が重傷。165人が逮捕されたとのことです。
首脳会議の開催を明日に控えて、夕方にはアメリカ合衆国のブッシュ大統領が到着します。空港を囲んでの大規模な抗議活動など、様々な活動が本日も計画されており、その行方は予断を許さない状況です。
「ロストック・ショック」と地元紙が伝えたG8に対する大規模な抗議行動は、6月2日の開始から、今日で4日目を迎えました。G8各国の首脳らが集う予定のハイリゲンダムから東へ30分、バルト海に注ぐウンタヴァルノ川に面する港町、ロストックは、多くの抗議活動の拠点となっています。港周辺のイベント会場や、市内の3つのキャンプなどには、ドイツや周辺の国々からリュックサックをかついだ若者たちが多数集っています。
初めての大規模行動が行われた6月2日、私たちは市内で行われたデモンストレーションを取材。行進は2つのグループに分かれて行われ、一方には主催者の発表で6万人、もう一方には2万人の人々が参加しました。思い思いのカラフルな衣装に身を包んだ参加者は、音楽や鳴り物に合わせて、港までの5キロほどの道を楽しく、穏やかに行進しました。
人々の表情が緊張を帯びてきたのは、いよいよ行進も最終地点の
港湾地域に差し掛かったあたりからです。港に通じる道をおびただしい数の警察車両と警察官が取り囲みます。上空ではヘリコプターが旋回。行進の声やイベント会場からの音声が聞き取りにくい状況となり、主催者側から、ヘリコプターを退避されるよう、警察に向かっての要請が何度も続きますが、一向に立ち去る気配をみせません。隊列を組んだ警察官が会場を縦横に駆けながら、 行進する人々に徐々に接近します。警察車両がけたたましいサイレンをならして道路を駆け抜けます。装甲車までが登場し、警察の威嚇は激しさを増します。平和な雰囲気に包まれていたデモンストレーションは一気に緊張につつまれ、一方で無政府主義を掲げるブラック・ブロックと呼ばれる、若者たちの集団が勢いを増し、警察の隊列と対峙。警察とのこぜりあいが生じ、ついに無数の石やビンなどが警察の列に投げ込まれる事態となりました。
地元紙は一面にこの「暴動」あるいは「暴徒」、そして投げ込まれた石やビンの写真を掲載、この様子を「ロストック・ショック」と紹介しました。しかし、私の目には、そして、オルタナティブな視点からG8を報道するために、港湾近くに設けられたメディア・センターで取材にあたっている、世界中から集まった30名ほどの報道陣の目には、今回の事態は、警察の異常なまでの威嚇と、一部の若者を暴徒化させるための巧みな誘導が引き起こした ものであったと映るのです。
抗議行動主催者によると、この日だけで520人の参加者が負傷、うち20人が重傷、180人の警察官が負傷、うち20人が重傷。165人が逮捕されたとのことです。
首脳会議の開催を明日に控えて、夕方にはアメリカ合衆国のブッシュ大統領が到着します。空港を囲んでの大規模な抗議活動など、様々な活動が本日も計画されており、その行方は予断を許さない状況です。
2007年06月05日
暴力よりも建設的なキャンペーンを by 山田太雲(オックスファム)
2日に参加したデモは、私たちが歩いていた先頭部分が解散した後に終着点に到着したグループの一部と、警官隊との間で大きな衝突に発展し、警察にも100人以上の重軽傷者が出る暴動になってしまいました。
「G8の今の政策に反対で、別の行動を求める」という声も、「たった8カ国で世界経済を決めるのはおかしい」とG8そのものの開催に反対するのも、そういった声を社会や政治に見える形で表現することは、すべての人の権利です。しかし、暴力に訴えるやり方は、結局そのような声に対する社会の信用を失い、メディアの注目を最も大切な問題(貧困問題や気候の問題)からそらしてしまうだけであり、こうなってしまったことは非常に残念でした。これから首脳が到着する頃にかけて、ロストックのあちらこちらで衝突が勃発することが予想されており、私たちオックスファムのスタッフも、今回のために用意した黒いTシャツ(写真)を着て歩かないよう、アドバイスを受けました。

そんな中、ドイツのある新聞はオックスファムが行った「ビッグ・ヘッド」のスタントを大きな写真と共に取り上げ、「私たちが求めているのはこのような建設的なキャンペーンだ」と書いていました。その場にいなかったドイツ市民の人たちに、デモが暴力に訴える人たちだけのものではなかったことを知らせることができたという意味でも、非常に良かったと思います。
さて今日はメディア・センターが設置されるキュールングスボルンに、「アクレディテーション」という、メディア・センターへの通行許可証のようなもの(写真)を受け取りに行きました。世界のメディアが集まって、G8の様子を世界に発信する場所ですが、私たちはそこに入って、そのメディアに問題を掘り下げた情報を伝えたいからです。
今回のサミットで主催のドイツ政府は、2005年のイギリス、2006年のロシアのサミットと違い、NGO関係者へのアクレディテーションを用意しませんでした。非常に後ろ向きな対応で、来年のホストである日本政府に悪い前例を与えないかと心配ですが、この影響で私はNGOの立場ではアクレディテーションを得ることができなくなり、今回FMわぃわぃさんにレポーターとしての資格をいただく形で、入手することができるようになったのです。
メディア・センター自体は明日から開くとのことでしたが、すでに日本政府の関係者が様子を見に来ていました。手に持っていたノートには、「警備体制」という項目の下にいろいろと書き込んであり、来年のサミットの際に参考にしようとしているのでしょう。多様な声が交われる、そんな空間作りに務めてもらいたいものです。
その後、ロストックのあるホテルに行き、来年のサミットの向けて準備を進めている「2008年NGOサミットNGOフォーラム」と、今年のサミットに向けて準備をしてきたドイツのNGO関係者との間で経験や認識を共有するための会議が3時間行われました。イギリスなどと比べると、ドイツも環境問題に比べて開発問題に対する世論の関心はそれほど高くはないようです。そんな中、大きなコンサートをこの半年の間に2回も開き、1万人の署名を集めたオックスファム・ドイツの活躍には目を見張るものがあります。彼らよりもさらに小さいオックスファム・ジャパンではありますが、ぜひ同じくらいの結果は出せるようにがんばらなければ。
夜、世界各地からオックスファムのG8チームのメンバーが勢ぞろい。昨年ケニアで2ヶ月研修した時にお世話になった人も2人来ていました。夕食を食べながら、しかし各自が明日以降の仕事で重要なことを話し合うミニ会議があちらこちらで開かれていました。
オックスファムのメディア・チームが、ブログに上げるためのショートフィルムを作成しており、そのための撮影も行われました。各国のスタッフがそれぞれ母国語で、援助、保健、貿易、ダルフール、気候変動などの問題について、15秒ずつくらい説明をする映像と、「世界はもう待てない」のスローガンにかけて、イライラしながら待ち続けている様子を20秒ほどずつ撮影。私は貿易について日本語で説明する映像を撮られましたが、いつになってもカメラの前で演じるのは苦手です。
明日、明後日にはオックスファムのブログにアップされますので、ご覧ください。
http://oxfaminternational.wordpress.com
「G8の今の政策に反対で、別の行動を求める」という声も、「たった8カ国で世界経済を決めるのはおかしい」とG8そのものの開催に反対するのも、そういった声を社会や政治に見える形で表現することは、すべての人の権利です。しかし、暴力に訴えるやり方は、結局そのような声に対する社会の信用を失い、メディアの注目を最も大切な問題(貧困問題や気候の問題)からそらしてしまうだけであり、こうなってしまったことは非常に残念でした。これから首脳が到着する頃にかけて、ロストックのあちらこちらで衝突が勃発することが予想されており、私たちオックスファムのスタッフも、今回のために用意した黒いTシャツ(写真)を着て歩かないよう、アドバイスを受けました。
そんな中、ドイツのある新聞はオックスファムが行った「ビッグ・ヘッド」のスタントを大きな写真と共に取り上げ、「私たちが求めているのはこのような建設的なキャンペーンだ」と書いていました。その場にいなかったドイツ市民の人たちに、デモが暴力に訴える人たちだけのものではなかったことを知らせることができたという意味でも、非常に良かったと思います。
さて今日はメディア・センターが設置されるキュールングスボルンに、「アクレディテーション」という、メディア・センターへの通行許可証のようなもの(写真)を受け取りに行きました。世界のメディアが集まって、G8の様子を世界に発信する場所ですが、私たちはそこに入って、そのメディアに問題を掘り下げた情報を伝えたいからです。
今回のサミットで主催のドイツ政府は、2005年のイギリス、2006年のロシアのサミットと違い、NGO関係者へのアクレディテーションを用意しませんでした。非常に後ろ向きな対応で、来年のホストである日本政府に悪い前例を与えないかと心配ですが、この影響で私はNGOの立場ではアクレディテーションを得ることができなくなり、今回FMわぃわぃさんにレポーターとしての資格をいただく形で、入手することができるようになったのです。
メディア・センター自体は明日から開くとのことでしたが、すでに日本政府の関係者が様子を見に来ていました。手に持っていたノートには、「警備体制」という項目の下にいろいろと書き込んであり、来年のサミットの際に参考にしようとしているのでしょう。多様な声が交われる、そんな空間作りに務めてもらいたいものです。
その後、ロストックのあるホテルに行き、来年のサミットの向けて準備を進めている「2008年NGOサミットNGOフォーラム」と、今年のサミットに向けて準備をしてきたドイツのNGO関係者との間で経験や認識を共有するための会議が3時間行われました。イギリスなどと比べると、ドイツも環境問題に比べて開発問題に対する世論の関心はそれほど高くはないようです。そんな中、大きなコンサートをこの半年の間に2回も開き、1万人の署名を集めたオックスファム・ドイツの活躍には目を見張るものがあります。彼らよりもさらに小さいオックスファム・ジャパンではありますが、ぜひ同じくらいの結果は出せるようにがんばらなければ。
夜、世界各地からオックスファムのG8チームのメンバーが勢ぞろい。昨年ケニアで2ヶ月研修した時にお世話になった人も2人来ていました。夕食を食べながら、しかし各自が明日以降の仕事で重要なことを話し合うミニ会議があちらこちらで開かれていました。
オックスファムのメディア・チームが、ブログに上げるためのショートフィルムを作成しており、そのための撮影も行われました。各国のスタッフがそれぞれ母国語で、援助、保健、貿易、ダルフール、気候変動などの問題について、15秒ずつくらい説明をする映像と、「世界はもう待てない」のスローガンにかけて、イライラしながら待ち続けている様子を20秒ほどずつ撮影。私は貿易について日本語で説明する映像を撮られましたが、いつになってもカメラの前で演じるのは苦手です。
明日、明後日にはオックスファムのブログにアップされますので、ご覧ください。
http://oxfaminternational.wordpress.com
2007年06月04日
5万人の市民が多様なデモ行進 by 山田太雲(オックスファム)
みなさま、こんにちは。オックスファム・ジャパンの山田です。
今回、G8サミットが行われるドイツから、サミットの様子を貧困問題に取り組む国際NGOの視点から報告させていただくことになりました。今日からできるだけ毎日、情報をアップデートしていきたいと思います。
東京からアムステルダム経由でベルリンまで、約14時間の空路の後、各国のオックスファム関係者が待つロストック近郊のホテルに着いたのは、昨夜12時頃でした。その数日前からあまり睡眠をとれていないことを考えると、今朝は思ったよりもしっかりと目覚めることができました。おそらく、これからクライマックスであるサミット終了までの7日間に起こるであろう出来事に対する期待感と不安感によるものだと思います。
私はここに、オックスファムを代表して、サミットを取材する日本のメディアに皆さんに対して、サミットで何が起こっていることについて私たちが把握している情報を提供し、それが世界で貧困のもとに暮らしている人々の暮らしにどのような影響をもたらすことになるのかを伝えるために来ています。来年のサミットが日本で開催されることになっているため、今からメディアを通じて日本の市民の皆様がこのような情報を知ることはとても重要だと思います。これから1週間、気合を入れてメディア・ワークをしていきたいと思いますが、今日のメインイベントは、なんと言ってもドイツの市民社会が組織した大きなデモンストレーションでしょう。
天気は、残念ながら「デモ日和」とは言いがたく、どんよりと寒く、小雨がぱらついています。にもかかわらず、ロストックの中央駅に集まってくる人の数は膨れ上がる一方。だんだん政治的な熱を帯びてきます。
オックスファムはここで、「スタント」と呼ばれるメディア向けのパフォーマンスをしました。G8首脳の顔に似せた大きなハリボテ(「Big Heads」と言います)を被った8人が、アフリカの代表とギャンブルをするのですが、ここでのミソは、アフリカの人がいくらがんばっても、G8はウラ取引をしたり、よってたかってアフリカの代表から奪ったりして、G8が活用になっていることです。これは私たちが訴えたい、不公正な貿易や債務、そして約束にはほど遠い援助の実態をうまく表していると思いました。
行進そのものは午後1時に出発。聞いたところによると、5万人(主催者発表は8万人)が参加したそうです。参加者たちが掲げているスローガンは実に多様で、特定の政策についてのものがあれば(例えば「G8は本来南に対して借りがあり、それを返すべきだ[本当の意味で債務を負っているのはG8ではないかと言う主張]」というものや、「すべてのHIV感染者やAIDS患者に治療を」というもの)、もっと全般的なものまで(「G8の皆さん、もう議論はいいから行動を」というものがあるかと思えば、「G8を阻止しよう」というものも)。とても「一貫性のある要求」とは言い難い状況。でも、いろいろな人々が参加するこのデモでは必ずしも要求の内容に一貫性があるかどうかが重要なのではなく、この行動を通じて、全体として、世界中の市民がG8やそれが象徴する仕組みに対して持っている不満の度合いが非常に高いことが誰の目にも明らかになること、そして、G8に対して、「今までどおりに金持ちのためだけの話し合いをするのであれば、あなた方が自負するような国際的な、民主主義の指導者としての信頼は損なわれる」というメッセージが伝わることにあるのだと思います。
残念ながら、一部のグループが破壊活動を行ってしまったために、日本での報道はそちらに注目が集まってしまっているようですが、現場ではいたって落ち着いた受け止められ方をしています。
とにもかくにも、市民社会のメッセージは伝わりました。これに対して、G8がこれまでに世界中の、特に最も貧しい人々に対して交わした約束を守るのかどうか。決めるのは彼らです。
今回、G8サミットが行われるドイツから、サミットの様子を貧困問題に取り組む国際NGOの視点から報告させていただくことになりました。今日からできるだけ毎日、情報をアップデートしていきたいと思います。
東京からアムステルダム経由でベルリンまで、約14時間の空路の後、各国のオックスファム関係者が待つロストック近郊のホテルに着いたのは、昨夜12時頃でした。その数日前からあまり睡眠をとれていないことを考えると、今朝は思ったよりもしっかりと目覚めることができました。おそらく、これからクライマックスであるサミット終了までの7日間に起こるであろう出来事に対する期待感と不安感によるものだと思います。
私はここに、オックスファムを代表して、サミットを取材する日本のメディアに皆さんに対して、サミットで何が起こっていることについて私たちが把握している情報を提供し、それが世界で貧困のもとに暮らしている人々の暮らしにどのような影響をもたらすことになるのかを伝えるために来ています。来年のサミットが日本で開催されることになっているため、今からメディアを通じて日本の市民の皆様がこのような情報を知ることはとても重要だと思います。これから1週間、気合を入れてメディア・ワークをしていきたいと思いますが、今日のメインイベントは、なんと言ってもドイツの市民社会が組織した大きなデモンストレーションでしょう。
天気は、残念ながら「デモ日和」とは言いがたく、どんよりと寒く、小雨がぱらついています。にもかかわらず、ロストックの中央駅に集まってくる人の数は膨れ上がる一方。だんだん政治的な熱を帯びてきます。
オックスファムはここで、「スタント」と呼ばれるメディア向けのパフォーマンスをしました。G8首脳の顔に似せた大きなハリボテ(「Big Heads」と言います)を被った8人が、アフリカの代表とギャンブルをするのですが、ここでのミソは、アフリカの人がいくらがんばっても、G8はウラ取引をしたり、よってたかってアフリカの代表から奪ったりして、G8が活用になっていることです。これは私たちが訴えたい、不公正な貿易や債務、そして約束にはほど遠い援助の実態をうまく表していると思いました。
行進そのものは午後1時に出発。聞いたところによると、5万人(主催者発表は8万人)が参加したそうです。参加者たちが掲げているスローガンは実に多様で、特定の政策についてのものがあれば(例えば「G8は本来南に対して借りがあり、それを返すべきだ[本当の意味で債務を負っているのはG8ではないかと言う主張]」というものや、「すべてのHIV感染者やAIDS患者に治療を」というもの)、もっと全般的なものまで(「G8の皆さん、もう議論はいいから行動を」というものがあるかと思えば、「G8を阻止しよう」というものも)。とても「一貫性のある要求」とは言い難い状況。でも、いろいろな人々が参加するこのデモでは必ずしも要求の内容に一貫性があるかどうかが重要なのではなく、この行動を通じて、全体として、世界中の市民がG8やそれが象徴する仕組みに対して持っている不満の度合いが非常に高いことが誰の目にも明らかになること、そして、G8に対して、「今までどおりに金持ちのためだけの話し合いをするのであれば、あなた方が自負するような国際的な、民主主義の指導者としての信頼は損なわれる」というメッセージが伝わることにあるのだと思います。
残念ながら、一部のグループが破壊活動を行ってしまったために、日本での報道はそちらに注目が集まってしまっているようですが、現場ではいたって落ち着いた受け止められ方をしています。
とにもかくにも、市民社会のメッセージは伝わりました。これに対して、G8がこれまでに世界中の、特に最も貧しい人々に対して交わした約束を守るのかどうか。決めるのは彼らです。
G8サミットの貧困問題をレポート - オックスファム、AMARCと協力 -
FMわぃわぃはオックスファム・ジャパンと協力し、6月6日からドイツで開催される主要国首脳会議(G8サミット)にオックスファム・ジャパンの山田太雲氏(アドボカシー・オフィサー)をレポーターとして派遣します。サミットで話し合われる問題のうち、とくに貧困問題について情報発信をしていきます。
またFMわぃわぃが加盟している世界コミュニティラジオ放送連盟(AMARC)の日本協議会準備委員会のメンバーとして松浦哲郎氏もサミットの会場からレポートをする予定です。
またFMわぃわぃが加盟している世界コミュニティラジオ放送連盟(AMARC)の日本協議会準備委員会のメンバーとして松浦哲郎氏もサミットの会場からレポートをする予定です。


